2007.02.24

It Must Be Love

It Must Be Love (Avon Light Contemporary Romances)It Must Be Love (Avon Light Contemporary Romances)
Rachel Gibson

Avon Books (Mm) 2000-03
売り上げランキング : 65011

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アイダホのとある大富豪所蔵のモネが盗まれる。覆面捜査官のJoeは、美術商のKevin Carterに目をつけていた。Kevinこそ今回の黒幕であり、自分の店を隠れ蓑にして盗品売買を行っているに違いない。Joeは彼の店の共同経営者であるGabrielleを密かに尾行する。しかしある日、いつものように尾行していたJoeに突然Gabrielleが飛び掛り、銃をつきつけた。Joeをストーカーだと勘違いしたGabrielleが反撃にでたのだ。JoeはなんとかGabrielleを取り押さえ、公務執行妨害と銃を携行した罪で逮捕する。自分がストーカーではないことを納得さえるため、警官として尾行していたこととKevinに対する容疑を打ち明けざるを得なくなったJoe。それならいっそ、と、罪を見逃す代わりにGabrielleの恋人を装って店に潜伏したいと持ちかける。店に入り浸り、犯罪の証拠を探しながら、Kevinの前では恋人同志を演じ続けるふたり。一緒に過ごすうちに、自分の理想とは違うはずの相手に心ならずも惹かれていく。

はじめて結ばれるのがなんと300ページ(正確には299ページ)というスローペースぶり。しかも、その時点ではまだふたりは愛し合っていないという始末。というわけで、愛するふたりのすれ違い、というよりは、恋愛未満の緊張感を楽しむ作品でしょうか。
Gabrielleはニューエイジ系不思議ちゃん。ルックス不問で「精神レベルの高い」男にしか興味がない。みるからにセクシーでマッチョなJoeは対象外のはず。一方のJoeは古風なところがあって、家庭的な女性と一緒になって落ち着きたいと考えている。奇言奇行が服着て歩いているような、料理嫌いのGabrielleは対象外のはず。お互いの自分の理想の恋人像に対する思い込みと、情報提供者に手をだしてはいけないというJoe側の事情が恋の障害となるわけですが、うーむ、ちょっと弱い? 
でも、悶々としたGabrielleが描いたJoeのヌードが本人に見つかってしまって、"Mr. Happy" (by Kevin)の写実性が問われるシーンとか、JoeのペットのSam(クリント・イーストウッド好きの口の悪いオウム)とか、Rachel Gibsonらしいぶっ飛んだおかしさは楽しい。それにラストのラスト、ようやくお互いの愛に気がついた二人のセキララぶりにはぐっと来ます。でも如何せん残りわずか数ページではハラハラしようもなく・・・。って、欲張りすぎ? 2007.2.24★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.09.21

Hot Target

Hot TargetHot Target
Suzanne Brockmann

Ballantine Books (Mm) 2005-11-29
売り上げランキング : 9019

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

派手なプライベートで有名な映画プロデューサーJaneの次回作"American Hero"は、実話に基づいた第二次世界大戦中のロマンスだった。ただし、それが男同士のロマンスだったことから、Janeは製作を取りやめるよう何者かに脅迫を受けるようになる。心配した映画制作会社がTroubleshootersに護衛を依頼し、Navy SEALのCosmoがJaneのボディガードを務めることに。脅迫を本気にしていないJaneは猛反発。一方のCosmoもなにかと派手なJaneに反感を抱くが、やがてお互いを知るようになり恋におちる。ところが当然ながら脅迫は伊達じゃなかった。脅迫メールの類似性から、おそらく犯人は過去にも殺人事件を犯しているとあるカルト集団であると推測。FBIまで乗りだすが、Janeと周囲の人間は危険にさらされることに。

Troubleshootersシリーズ第8作(The Unsung Hero, The Defiant Hero, Over the Edge, Out of Control, Into the Night, Gone Too Far, Flashpoint)
あらすじの通り、表向きにはCosmoがヒーローなわけですが、本作の真のヒーローはAlyssaの親友でもあるゲイのFBI捜査官 Julesです。
公式ウェブサイトのカウントダウンページにもあるように、Suzanne Brockmannの息子さんもゲイなのだそうです。たまたまゲイとして生まれてきたというだけで、人を愛し人に愛される普通の人間だってことを訴えたかったのでしょう。Julesと"American Hero"の主演男優であり、Janeの弟でもあるRobin(自称ストレート)とのロマンスがサブプロットになっているんですが、これが凄い。主役を食ってるなんてレベルじゃないです。Julesの元彼のAdamまで絡んできて、濃厚で切ない恋愛模様にメロメロです。なにしろ、あの陽気で優しいJulesがビックリするくらい男らしい。ほれます。JulesとRobinの恋の行方が気になって仕方がない。"Over the edge"でのAlyssaとSamを彷彿とさせるケミストリーです。
とまあ脇役のロマンスは無茶苦茶素晴らしいのですが、主役のロマンスがビックリするくらい出来が悪い(笑)。はっきりいってキャラもいい加減だし、あまり印象に残らない。Julesの物語の埋め草程度にしか見えません。いっそJulesを主役にすればよかったのに(ってそういう訳にもいかんでしょうが)。無口なCosmoのキャラがヒーローとしては難易度高かったということもあるのかもしれませんが、これでは残念ながら5つ星はあげられません。もったいない!
冒頭に息子さんへの献辞があるんですが、これがなんとも泣かせます。母の愛です。上述のカウントダウンページの下の方にもありますのでご一読あれ。2006.9.15★★★★

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006.08.28

Something Borrowed

Something BorrowedSomething Borrowed
Emily Giffin

Griffin 2005-04-15
売り上げランキング : 16401
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

子供のころの夢では素敵な旦那さまにお祝いしてもらうはずだった三十歳の誕生日。ニューヨークで弁護士をしているRachelの記念すべき日を祝ってくれたのは、幼なじみのDarcyだった。美人でカリスマ性があり、いつでも欲しいものを手にしてきたDarcy。華やかな広報の仕事に就き、Rachelが紹介したロースクールでの同級生Dexとの結婚を目前に控えている。誕生パーティでは、いつものごとくDarcyが主役そっちのけで盛り上がった挙句、すっかり酔っ払ってしまって一足先に帰宅することに。残ったDexとRachelはふたりで飲み続け、なんとなく勢いで”そういうこと”になってしまう。親友の婚約者とベッドで朝を迎え、愕然とするRachel。しかし、Dexは動揺しつつも「いけないことだとは思うが、後悔はしていない」と言い放つ。とても自分には不釣合いだと思いつつも学生時代から密かにDexに惹かれていたRachelは、Darcyへの罪悪感に苛まれながらもDexのことを想わずにはいられない・・・。

【これはロマンス・・・なんですか? Amazonではロマンスのジャンルにあったんだけど】
発売から2年たった今でもAmazonのロマンスTop sellerリストで堂々の28位。読者レビューは200を越え、平均評価は星4.5個。こりゃ当然イケるでしょ、と買ったんですけれど・・・。これ、いわゆるChick Litって奴ですね。それならそうと言ってくださればそのつもりで読んだのですが、ロマンスに違いないと信じて読んでいたので肩すかし食らいまくり。
ロマンスメインのChick Litもあるんでしょうが、これはDarcyとRachelの関係がメイン。美しいばかりじゃない、友情の醜い側面もセキララに書かれていて、そこは見事。Darcyってのはかなり逝っちゃってるキャラなんですが、「いたいた!こういう娘」って感じです。なんだか懐かしくて甘酸っぱい。読んでいて、なんというか痛くて面白かったです。
ところがねー。ロマンスとしてはもう、てんで駄目。ロマンス小説が成立するための重要な条件ってなんでしたっけ? そう、魅力的なヒーローですね。ところがこの作品のヒーローときたら・・・。こんな奴がヒーローの訳がないと思って、かなり後ろの方まで別の男性をヒーローだと信じて読んでた馬鹿なわたし。いや、だから最初にロマンスじゃないって断っておいてくれればよかったのに(泣)。そんなこんなで、読後感もなにもあったもんじゃない。感動の(たぶん)ラストでも「はい?」ってな状態。いや、すごいビックリしたって。
ロマンスだと思い込んでた私も悪いけど、本来、そんな思い込みはねじ伏せてでも何かを伝えてくれなければいけなかったはずで、そこはやっぱり作者も力不足だったんじゃないかな、と。人気作ではありますが、私にとっては星三つだなぁ。2006.8.27★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.08.15

True Confessions

True Confessions (Avon Romance)True Confessions (Avon Romance)
Rachel Gibson

Avon Books (Mm) 2001-07-31
売り上げランキング : 64691

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

仕事上のトラブルをきっかけにスランプに陥ったタブロイド紙ライターのHopeは、会社の勧めで半年間の予定で田舎町Gospelに暮らすことに。元亭主の裏切りでバツイチになってから知らず知らずのうちに他人に心を閉ざしていたHopeだったが、Gospelでは心許せる友人も見つけ、いままでになかったほど幸せを感じていた。でもひょっとすると、その幸福感には地元の保安官Dylanの存在が関係しているのかも・・・。Dylanは男手ひとつで男の子を育てるパパ。息子との平和な生活を守るためにも、母親の正体は絶対に秘密だ。Hopeと親しくなるDylanだが、彼女にも息子の母親については嘘をついている。Hope自身も自分の過去や職業についてはDylanに嘘をついたまま。お互いに秘密を抱えたままふたりは恋におちてゆくが、やがてショッキングな形で真実があきらかに。一度うしなわれた信頼はとりもどすことができるのか?

コレ、むっちゃ好き! 最初から最後まで文句なしで良かった。嬉しくなっちゃいます。
とにかくDylanが最高。息子に対してはよき父。街の女性に対しては心優しいフェミニスト。そしてHopeの前では危険なセクシーカウボーイ(きゃーっ)。ハレンチな口説き文句から心揺さぶる愛の告白までなにを言ってもサマになる。いやもう、出来すぎ出来すぎ素敵すぎ。おまけにHopeに対する惚れっぷりがまたツボです。
このヒーローだけでも充分五つ星なんですが(我ながらすごい評価基準だ)、ふたりのロマンスがまたいい。恋に落ちてゆく不安とヨロコビが見事にセキララに綴られていて、もう胸がキュンキュン言いっぱなし。愛し合えたときの幸福感とか、裏切られた絶望感とか、とにかく真に迫るものがありました。ドラマチックさも申し分なし。
でも、なんといっても一番凄かったのは、空気感かもしれない。お隣さんとの交流とか、のどかな田舎の日常とか、この変テコなGospelという町にHopeが見出した安らぎがすごくよく伝わってくる。それがあるからこそ、どっぷり物語りに浸ることができたのかな? おまけにGospelの住民たちの奇妙奇天烈ぶりもRachel Gibson節炸裂って感じだし。とにかく最高でした。彼女の作品のなかでもマイベストです。2006.8.14★★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.07.29

Be My Baby

Be My Baby (Avon Light Contemporary Romances)Be My Baby (Avon Light Contemporary Romances)
Susan Andersen

Avon Books (Mm) 1999-03
売り上げランキング : 55257

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

Julietはボストンの名家の出身で、祖母に厳しくしつけられた生粋のお嬢さま。父親の経営するホテルチェーンが新しく開業することになったホテルのオープニングセレモニーの準備のため、現地ニューオーリンズに向かう。初めてひとりで任された仕事にJulietの士気は上がる一方だったが、気に食わないことがひとつあった。開業に反対する人間から脅迫状が届き、真に受けた父親がJulietにボディガードをつけたのだ。一方、「まともな刑事の仕事」を外されて子供だましのようなボディガードを命じられたニューオーリンズの刑事Beauも不満だった。かくなる上はお嬢さまの不興をかって、一刻も早くボディーガードを解任してもらわなければ、とニューオーリンズでも指折りのイカガワシイ界隈にJulietを連れ回すのだが、何故かお嬢さまは楽しそうに目を輝かせている。一緒にいるうちに、Julietのことばかり考えるようになってしまうBeau。ヤバイ、ヤバイと思うのだが、本当の危機がふたりの身に迫っていることには気がつかずにいた・・・。

いや、アツイのなんのって。ヒーローとヒロインもそうなんだけれど、それよりもニューオーリンズが! 読んでるだけで汗がダラダラでてきそうで見事といえば見事なんだけど、そんなに不快指数を盛り上げてくれなくてもいいのに、とただでさえ暑さにウンザリ気味の私はちょっと参りました。
それから、ヒーロー。男性ホルモン濃すぎです。ロマンスのお陰で「オトコ」っぽい殿方の許容範囲はかなり広がった方だとは思うんだけれど、Beauはビミョーにしかし確実に許容範囲を超えている。ヒゲの剃り跡が青々としているのは私的にはアウトなんだけど、これってセクシーなの? ふと手が触れた彼のシャツの胸元が、ラブシーンでもないのに汗でしっとりしていたらちょっと引くのはあまりに潔癖性なのか? 男手ひとつで三人の妹を育てていて、妹がひとり立ちしたらニューオーリンズ中の女と遊びまわるのが夢、ってのは可愛くなくもなかったんだけど・・・。「ヒゲ」って文中に出てくるたび、「ああご勘弁を!」って感じでした。
うだるような暑さとテストステロンに食傷気味で、「もうこの人の作品は読むもんか」と前半は思っていたんだけど、後半にはいってふたりの関係がヒートアップしてくると、ニューオーリンズの暑さも気にならなくなり(笑)、Beauの描写も「オトコっぽさ」から「かわいらしさ」に重点が移ってくると私の守備範囲にずっぽしはまってきました。
軽快でセクシーでスピード感のあるロマンス。前言撤回してもう一冊くらい読んでもいいかな。2006.7.29★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.06.25

Flashpoint

FlashpointFlashpoint
Suzanne Brockmann

Ballantine Books (Mm) 2004-10-26
売り上げランキング : 21194
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

相棒のDeckerを見殺しにしようとしたCIAに愛想をつかしたJimmyは、DeckerとともにCIAを辞して元SEALsリーダーTomの経営するTroubleshooters Inc.に加わった。Troubleshooters Inc.での最初の仕事は、カズベキスタンでおこった大地震で命を落としたとあるテロリストのノートPCを見つけること。テロの情報テンコ盛りなPCをアメリカは欲しくてしかたがないが、国境を閉ざしたカズベキスタンに表立って進入することはできない。そこで、Troubleshootersが仕事を請け負ったわけだ。JimmyとDeckerは他のメンバーとともに復旧作業ボランティアを装って危険なカズベキスタンへと潜入する。ただ、Jimmyにとって問題がひとつ。コンピュータの専門家としてメンバーに加わったCIAでの同僚、Tessの存在だ。諜報員として入局した筈なのに、いっこうに内勤から解放してくれないことに業を煮やしたTessはCIAをやめてTroubleshootersに入社していたのだ。CIAでは仲の良かったJimmyとTessだったが、一夜限りの関係を結んだあとJimmyがTessの前から姿を消して以来のきまずい再会だった。

Troubleshootersシリーズ第7作(The Unsung Hero, The Defiant Hero, Over the Edge, Out of Control, Into the Night, Gone Too Far)
前作Gone Too Farでひと段落したTroubleshootersシリーズ。装いも新たに第二シーズンの幕開けです。SEALsを去ったTomが会社を興し、そこにSamとAlyssaが加わったというところで終わっていた第一シーズンですが、こんどはその会社が舞台となるようです。表向きはまさにTroubleshooters、人々の問題を解決する特殊技能者集団といった面持ですが、その実、今回のように政府から依頼を受けて極秘の対テロ作戦を実行したりもする怪しい会社。
TomとCosmoがちらりと顔をだしますが、それ以外はまったく役者が入れ替わっていて、新シーズンのはじまりを印象づけています。あとは構成もがらりと変わって、前作まで必ず入っていた第二次世界大戦のエピソードもないし、脇役ロマンスもほとんどありません。前半の一部をのぞいては複数のプロットが交錯することもなく、主役ロマンスと作戦遂行の様子にほぼ集中です。ということで、良し悪しはさておき、かなりリフレッシュしたことは間違いありません。
ということで、主役ロマンスの出来にほぼ依存することになるわけですが、私的には・・・うーん、もう一息! いや、決して悪くないんです。やっぱりこの人は上手だなぁと思わずにはいられない安定した筋運びに、テンションの高い文章。スーザン・エリザベス・フィリップスかと思うような、私好みの馬鹿男系ヒーロー。ただ、どうしようもないふたりのすれ違いを説明するには馬鹿男っぷり(笑)が足りなくって、イマイチ納得いかなかったかな。それに、友人DeckerもTessに惚れているっていう設定も少し中途半端。最初、「お、”タッチ”状態か?」とトキメキましたが(古い?)、なんだか尻つぼみになっちゃって、なんのための三角関係だったのやら。ま、ヒーロー・ヒロインの幸福が他人の不幸の上に成立するのはマズイという配慮でしょうが。とはいえ、Tessが自爆テロに巻き込まれたかと思って動転するJimmyの描写とか、情熱的・感動的な告白のシーンとかは、さすが!って感じでしたが。とりあえず、次作に期待ってとこでしょうか。
そうそう、SamとAlyssaは本編では名前しか出てきませんが、スペシャルおまけとして、結婚数ヵ月後のふたりの様子を描く8ページの短編がついていました。ま、仲良くやってるのね、ってことで。2006.6.24★★★★

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006.05.25

Trust Me

Trust MeTrust Me
Jayne Ann Krentz

Pocket Books (Mm) 1995-09-01
売り上げランキング : 254,052
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

コンピュータ・セキュリティ会社の社長 Sam Starkの結婚式の日、とうとう花嫁は現れなかった。実は新婦にすっぽかされるのは人生二度目のStark。天才肌のコンピュータおたくで感情を表に出さないStarkに、女性たちは不安を感じて逃げ出してしまうのだ。妻となる人物に苦手とする社交面を任せるつもりだったStarkだが、あてが外れたいま、ケータリング会社と契約して一切を任せるという妙案を思いつく。代々続いた演劇一家のなかで唯一の実業家Desdemonaは、売れない役者ばかりの身内を自分のケータリング会社に雇うことで一族の経済的基盤を支えている。Starkの会社から包括的な大契約を持ちかけられ、一も二もなくとびつくDesdemona。Starkの会社が主催するパーティを仕切ることはもちろんのこと、なぜか妻のかわりとしてStarkが参加するパーティに同伴することまで同意させられる。まったく正反対の性格ながらも急速に惹かれあうふたりだったが、Starkが開発しているセキュリティソフトが産業スパイに狙われ、Desdemonaまでもが危険にさらされることになる。

いつも本を読みながら心のどこかで分析している。ここが凄い、ここがイマイチ、ここが好き、ここが嫌い。レビューを書くためというのもあるかもしれないけれど、理系の性でしょうか。ところが、この作品については・・・わからない! なぜかわからないんだけれど、すごく楽しい。逆はよくあるんですよね、悪いところ見つからないのにつまらないってのは。でも、今回のようなケースははじめて。わたしの大好きなすれ違いもメロドラマもなし。ヒーローが超いい男というワケでもない。ストーリーはひょうひょうとして至極平熱なんだけれど、先を読みたくてたまらなくなる。苦手のロマンチック・サスペンスにもかかわらず5つ星です!
いいところとして唯一明らかになのはDesdemonaのキャラクター。すごく初々しいのにすごく大人なんだよね。普通だったら間違いなくすれ違いコースまっしぐらな恋愛の危機の数々を、素直に鮮やかに切り抜けてゆく様はお見事のひとこと。初めて結ばれたあと、早速おとずれたピンチでのあの切り返し方! いやー、同性ながら惚れそうです。
でも、Desdemonaのキャラクターが際立ってくる前からストーリーには引き込まれていたわけで、それだけが理由じゃないのは間違いないんですよ。なんでだ? いったいどこがいいんだろう。誰か知っていたら教えてくださいな。 2006.5.25★★★★★

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006.03.17

Sex, Lies, and Online Dating

Sex, Lies, And Online DatingSex, Lies, And Online Dating
Rachel Gibson

Avon Books (Mm) 2006-02
売り上げランキング : 967,409

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

34歳の人気ミステリ作家Lucyの次回作"dead.com"は、セックスの途中で相手を窒息死させる女性連続殺人犯の話。被害者男性のイメージ作りのための調査として、オンラインで知り合ったどうしようもない男たちとせっせとデートを繰り返していた。ところが、そんな負け犬の一人、"hardluvnman"との初デートでスターバックスに現れた相手Quinnを見てビックリ。ものすごくイイ男だったのだ。これほどの男性がオンラインで女性を漁っているなんて、とんでもない欠点があるにちがいない。ところで、Quinnがオンラインで女性を漁っていたのには当然理由があった。36歳の刑事である彼が捜査している連続殺人事件の犯人はどうやら被害者男性をネットでピックアップしている模様。そこでQuinnはオトリとなって、"hardluvnman"というHNでチャットルームを徘徊し、デートを取り付けて容疑者たちに接近していたのだ。その容疑者リストの筆頭であるLucyはとても魅力的な女性だった。殺人犯かもしれないと思いつつも、Quinnは惹かれる気持ちを抑えられない。

Rachel Gibson、ロマンチック・サスペンスに転向!?と思いましたが、一応ロマンスメイン。
互いに自分のことを偽ったままどんどん惹かれていってしまったり、その嘘がバレて修羅場ったり、なかなか私好みのすれ違い系で大好きな救出劇まであるんだけれど、読後感はもう一息って感じ。何故だろう。これといって悪い点も思いつかないのになぁ。ヒロインのキャラが若干ぼやけてたのかな?
Quinnはいいですねー。過去に麻薬捜査で性格すさんじゃって、っていう設定はあまり活かされてなかったような気がするけど、Lucyを犯人と信じつつも好きになってしまうところが何故か非常に説得力があった。殺されるかもしれないと思いながらキスしてるんですよ、このヒトは。有り得ないのに、それがなんとも切ない究極愛なのだ。だけどRachel Gibsonなので、エモーショナルだけど基本のトーンは明るく軽い。
作家が主人公ということで、素人からの批判に顔がひきつったり、スランプで書けなくなって途方にくれたり、執筆生活や創作術の描写は当然ながらとてもリアルで面白い。コンマの使い方なんかで批判されるんだなぁ、とかね。
ね、悪くなさそうでしょう? 不思議だ。不思議だけど好きな作家なのでちょっと辛めに3つ星。ちなみに次回作はLucyの作家仲間でロマンス作家のClareがヒロインのスピンオフ。シリーズ化か? 2006.3.17★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.02.27

Fatal

FatalFatal
Michael Palmer

Bantam Books (Mm) 2003-09-30
売り上げランキング : 544,616

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

鉱山に支えられた南部の田舎町Belindaで開業医を営むMattは閉所恐怖症の男やもめ。最愛の妻は肺がんで亡くなったのだが、家系的にも生活習慣的にもかかるはずのなかった珍しいガンだったため、Mattは鉱山の廃棄化合物が発症の原因に違いないと信じている。父親も鉱山の事故で失っており、鉱山会社BC&Cの安全衛生対策には強い不信感をもっているのだ。MattはBC&Cの管理体制に対する調査を再三要求するが、相手もなかなか尻尾を出さない。今ではすっかり狼少年状態で、誰も相手にしてくれなくなっていた。ところが、そんなMattの元にBC&Cの廃棄物不法投棄場所を告発するメモが届く。一方、町の鉱山労働者の間では妙な神経線維種が流行しはじめていた。廃棄物に含まれる化合物が原因に違いないとMattは一人キケンな調査を開始する。

【これはロマンスではありません】
廃棄化合物の不法投棄、謎の風土病、政治がらみの新ワクチン承認、起こるはずのなかった伝染病。ワクワクするような材料が互いに絡み合って(実は一部絡まってませんが)、野心的なプロットが展開されるメディカル・サスペンス。キャラクターは魅力的だし、アクションシーンも見事。
しかし「スカリー」がいないってのがマズイですね。あの「Xファイル」のスカリー捜査官のことです。主人公のMattは思い込みの強さといい、無鉄砲さといい、「モルダー」と同系列の愛すべき暴走キャラ。主人公が暴走しちゃうと読者は置いてきぼりくらっちゃうことになるから、それを止める役割を果たす人間が必要になる。でも、この作品では誰も止めてくれない。皆一緒に走っていってしまう! 「ワクチンの中にプ***が入っているんだ!」と物凄く飛躍した議論を展開したときも、みんな「そうだ、そうだ!」ってな具合。誰か突っこんでよ、「それ飛びすぎです。K点こえてます」って。いいんです、論理なんて飛躍したって。結局はいつもモルダーが正しいんです。ただ、「そんなわけないじゃん」ってつっこむスカリーがいるのといないのとでは、リアリティが違ってきませんか? もしもNikkiがスカリー役を果たしていれば、もっともっと面白くなったと思うんだけど。
ロマンス・ファン的には「男のファンタジー」を興味深く見せてもらった気がします。女性が「魅力的な男性に誘惑される」というファンタジーを持っているように、男性も「魅力的な女性に『あなたは命の恩人よ』と突然キスされる」というファンタジーを持っているのだなぁって。一緒だねぇ。・・・はっ、両方待ち姿勢じゃん。どうりで現実には小説のようなロマンスが発生しないわけだ。 2006.2.27★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.02.03

Vanity and Vexation

Vanity And Vexation: A Novel Of Pride And PrejudiceVanity And Vexation: A Novel Of Pride And Prejudice
Kate Fenton

Griffin 2005-07
売り上げランキング : 1,234,044

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


Nicholas Llewllyn Bevan、通称Llewはウェールズ出身の売れないサスペンス作家。専業作家になるため新聞社をやめたとき、野心家の妻が愛想をつかして出て行ってしまってバツイチ。現在はNorth Yorkshireにある義理の弟Johnの家の離れに住んでいる。パブでの噂話とクリケットくらいしか娯楽のない平和な田舎町だったが、TVドラマ「高慢と偏見」の撮影隊がやってきたから大変。地元のダンスパーティに遊びに来て住民の度肝をぬいた人気女優のCandia Binghamは、なんとJohnとすっかりイイ感じになってしまう。LlewもまけじとTV・映画界のサラブレッドであるアメリカ人の監督 Mary Danceに声をかけようとするが、お高くとまったMaryは田舎作家のLlewなど歯牙にもかけない。しかも彼女が自分のことを"Halfway presentable"と評するのを耳にして、Llewはムッとするが・・・。

"Pride and Prejudice"(「高慢と偏見」)の男女逆転バージョン。以前"Lions and Liquorice"のタイトルで出版されていたもの。Llewがリジー、Johnがジェーン、Candina BinghamがMr.ビングリー、Mary DanceがMr.ダーシーという配役。P&Pでの貴族に相当するのがセレブたちってのがいかにもです。
何といっても特筆すべきは作品の真ん中にあるツイスト、大どんでんがえし。確かに「えーっ」とビックリする。けれど、どうよ? SFやファンタジーなら歓迎されるでしょう。でもミステリでこれやったら石投げられるかも。そしてロマンス的には・・・いやー、やっちゃ駄目でしょう。ま、作品全体がパロディで一つの大きな冗談みたいなものだから仕方がないですけど。真性ロマンスファンとしてはストレートに勝負してほしかったなぁ。
全体的に飄々として軽妙洒脱。イギリスーって感じ(なんやそれ)。雰囲気はなかなか良いけど、頻発するジョークの半分は高尚すぎて理解不能。特に前半は文章が洒落すぎで読みにくくてしょうがない。前に読んでから二年経つので少しは読めるようになったかと思ったけれど、いやぁ、やっぱり読めません。ポスト・ツイストの後半部分はスラスラ読めるんだけどね。
そんなこんなで、ロマンスとして食い足りないのと冗談が難解すぎる(笑)ので今回は3点。また二年後に挑戦します。2006.2.2★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧