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2006.05.14

The Bride of Black Douglas

The Bride of Black Douglas (Mira Historical Romance)The Bride of Black Douglas (Mira Historical Romance)
Elaine Coffman

Mira Books 2006-01
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1785年イギリス
Meleriは幼い頃に母親をなくし、痴呆症の老父と共にイングランド国境近くの田舎町にひっそり暮らしている。生後まもなく定められた許婚Waverly卿は見た目は麗しいが中身はとんでもなく危険で残酷な男だ。友人からの手紙から、Waverlyがロンドンで公然と愛人を連れて歩いているという話を知ったMeleriは、心を決めてWaverly卿に会いに行き、見事婚約解消を取り付ける。喜んだのも束の間、翌日彼から婚約解消を撤回する手紙が届く。手紙の内容から、いまや彼の異常な残酷さが自分に向けられたことを確信したMeleriは、着の身着のまま家を飛び出す。
スコットランドの没落貴族の長Robertは追い詰められていた。経済状況は危機的で、いよいよ居城そのものの存続も危うい。しかもRobertを危険人物として目をつけているイングランド国王からは「二週間以内にイングランド人の妻を娶るように」との命令が下される。やむなく嫁探しの旅に国境を越えたRobertは、狂ったように馬を駆る赤毛の少女に出会う。彼女が死んだ妹の仇Waverly卿の許婚であると知って、Robertは彼女を花嫁候補として連れて帰ることにする。Robertにとっては、王の命令とWaverlyへの復讐、両方を一気に叶える千載一隅のチャンスだ。
Meleri奪回を狙うWaverly、イングランド人であるというだけでMeleriに心を閉ざすRobert、朽ち落ちんばかりのBeloyn城、そして伝説の幽霊。Meleriは持ち前の気丈さで逆境を乗り越えていく。

これはロマンスなのか? というのが第一の感想。むしろプチ・ビルドゥングス・ロマンというか、Meleriの冒険物語なのでは? 物心ついたときからずっと孤独だったMeleriが逆境をのりこえて自分の居場所を獲得する、というのがメインのストーリーなのかも。あるいは、Meleriと幽霊がDouglas家の危機を救うという。どっちにしろMeleriとRobertのロマンスはメインという感じがしない。「Meleriが冒険の過程で手に入れた宝物のひとつ」という方がしっくりくる。いやいや、ひょっとするとヒーローはRobertではなくて幽霊なのかも! なにしろ、MeleriとRobertよりもMeleriと幽霊の方がずっと強烈なケミストリーがあったし、作品で一番感動的なシーンはMeleriと幽霊のシーンなのだ。
それからもうひとつ特筆すべきはラブシーン。いや、エロチカ読んだあとでまさにその対極をゆく奥ゆかしいラブシーンは新鮮でした。ふたりが初めて結ばれるシーンでは、コトが終わってしまうまで結ばれたことに気がつかなかったという(笑)。
冗談はさておき、Meleriのインパクトに比してRobertのキャラクターの弱さは否めない。憎きイングランド人であるMeleriへ心を開いていく過程もあいまいだし、そもそも彼にとっての最大の「葛藤」であったはずの妹とWaverly卿の関係に関する秘密は最後までMeleriに打ち明けずじまい。というわけで、ロマンス方面ではイマイチ満足感が得られなかった。MeleriがDouglas家に溶け込んでいく様子や、最後の宝探しのシーン、それになにより幽霊とMeleriとの交流は読み応えがあったのに。…それともやっぱり幽霊がヒーロー!? 2006.5.14★★★

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