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2006.05.03

エロチカとロマンスのはざまで

ロマンス専門誌"Romontic Times Book Club"を見ていると、よくもまあ毎月毎月これだけ出版されるものだと感心する。各出版社の広告ページでは新刊の表紙が紙面を賑わして、そこここで抱き合うカップルのイラストに眩暈を覚えるほど。そんな広告のなかでダントツに目を引くのは、実はハーレクインでもAvonでもなくて……そう、Ellora's Caveをはじめとするエロチカ系出版社だったりする。eBooksが主流なためか、表紙のイラストなんてもう手を抜きまくりで、ヒストリカル顔負けの爆笑系イラストで和ませてくれる。Ellora's Caveに至っては、頻繁に裏表紙にまで進出。エジプトっぽい露出系の衣装を身に纏った筋肉ダルマたち"Cavemen"の写真がずらりと並び、とてもお茶の間には置いておけない怪しい雰囲気を醸し出している。「エロいよ~!」と絶叫しているようなそんな広告を見るたびに思ったものだ。ロマンスとエロチカの境界はどこにあるんだろう?
だってほら、いわゆる普通のロマンスだって、モノによってはラブシーンは非常にホットだと思うのだ。微に入り細に渡って詳しく描写してくれたり、思わずドキドキするようなシチュエーションで実施してくれたりもする。それでもあれらは「ロマンス」であって、一方ここに「エロチカ」と名乗る作品群がある。興味がわきません? どうなっちゃうんだ、と。「ロマンス」と冠されないということは、全く恋愛という要素が入らないのだろうか? でも、私が考えるところの女性心理では、愛とセックスは非常に強く結びついているように思うのだ。どれくらい興奮するかは「何をするか」よりも「誰とするか」の方がよっぽど大きく影響するような気がして仕方ない。「エロチカ」は恋愛を絡めずに読者をドキドキさせることができるのだろうか? ひょっとして私がウブなだけなのか?
というわけで読んでみました、初エロチカ。

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Jaci Burton

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舞台は快楽の孤島リゾート"Paradise Risort"。1週間の滞在のあいだ、めくるめく各種エロチック・アクティビティ(笑)を、恋人ないしは現地調達したパートナーと一緒に楽しむというトンでもないリゾート地だ。
ヒロインのSerena はカンザスの大学の文学部教授(弱冠28歳なんだけどねぇ)。実は性的好奇心旺盛なのだけれど、大学教官という立場と何でもすぐ噂が広まる田舎町というロケーションのせいで、非常に堅実かつ退屈な人生を送っている。眼鏡に色気のカケラもないファッション。でも一生に一度だけでも心のままに過ごしてみたいと、セクシーな衣装を買い込み一年分の貯金をはたいて、勇気を振り絞って"Paradise Risort"にやってきた。
ヒーローのMichaelはカリフォルニア在住のエロチック・サスペンス作家。愛する元妻に逃げられてから、女性には心をゆるさず身体のみの付き合いを続けてきた33歳バツイチ。ファッションモデルのガールフレンドと一緒にParadise Risortで楽しむつもりが、ドタキャンをくらってしまい、快楽の島でひとり新作の構想を練るつもりでやってきた。
リゾート側のミスで部屋をダブルブッキングされてしまったヒーローとヒロイン。他の部屋は満室だったことから、ルームシェアすることに。ついでにアクティビティのパートナーにもなって、一週間しがらみ抜きで思いっきり楽しむつもりだったのだけれど・・・・。
そう、お約束のように二人は恋に落ちてしまう。

なーんだ、やっぱりロマンスじゃん、とガッカリしたようなホッとしたような。
じゃあ何がロマンスとエロチカを分けるのかっていうと、単に比重の違いであるようだ。わずか172ページの短いこの作品の実に1/3以上がラブシーン! ほとんどひっきりなしのラブシーンの合間を縫うようにして、デートして喧嘩して恋に落ちるんだから忙しいことこの上ない。あとは表現がいささか露骨で野性的といいましょうか(笑)、ロマンチックというよりはひたすら激しい印象。ひっきりなしに神様の名前を連呼しているのがおかしい。でも、心配していたように(だったら読むなって?)変態プレーに走ったり、読んでいて気持ち悪くなるようなこともなく、意外に楽しく読めた。ヒロインがなかなか共感できるキャラだったからかな? 恋に落ちてしまって苦しむさまはなかなか切ないものがあったり。それにエロチックなんだけれど、どこかカラッとしている。背徳感は皆無で、なぜか健康的ですらある。
とはいえやっぱり食い足りない感が残って、私には普通のロマンスの方が性に合ってるなぁとシミジミ思った次第。ま、たまには肩の力を抜いてこういうのもいいかもしれないけれど。

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コメント

こんにちは。おひさしぶりです。少し前、こちらに入れない時期があり、落ち込みました。”あぁ、これから私は何を頼りに洋書ロマンスを読めばいいのだ・・・とほほ。”なので今はとってもhappyです。エロチカ、私もどんなものなんだろうと思っていました。普通に公開したかったけど18禁になっちゃった映画って感じでしょうか?
だけど、Shannon McKennaとかLinda Howardとか、英語とはいえ電車で読めないような熱~~いシーンがこれでもと出てくる作品でも、エロチカではなくロマンス。Jayne Ann KrentzやJude Deveraux のように、具体的な単語がそれほど出てこないのに、なんだかドキドキドキドキして興奮しちゃうのもロマンス。これは読んで確かめてみるしかありませんね。いつも私の道しるべになって下さって感謝です!
そうそう、すれ違いマニアのbookgirlさんとは違い、ほどほどすれ違い好みの小心者の私は、感想を読んで、”うーん、これは私には耐えられんな。”などと判断させてもらってます。ははは。

投稿: みふゆ | 2006.05.07 11:08

相手が興味なしでも感動を伝えたくて仕方がない人間なので(「従軍看護婦あがりのヒロインがストーンサークルに触ったら200年前のスコットランドにタイムスリップしちゃって、そこで知り合ったちょ~~~カッコいい若者と結婚しちゃって、元旦那の先祖がホモのサドでヒーローを狙ってて、ヒロインが魔女裁判にかけられて、ジャコバイトの反乱がおきそうで、も~~、すごい感動!!」・・・当然ぜんぜん伝わらない(笑)。相手は超冷静)、関心をもって読んでいただけるだけでもホント感謝感激です。それに、さすがのわたしも「このあいだエロチカ読んでさー!」と知人に面とむかって言うのは憚られるので、こうやってネットでワーワー言えるのは、王様の耳はロバの耳というか、嬉しいものです。
すれ違いマニアでロマンチック・サスペンスが苦手でメロドラマファンと我ながらかなり偏ってるなぁと思いますが、気にせずどんどん発信しますので、時々のぞきに来てくださいね。

投稿: bookgirl | 2006.05.07 20:47

新しい作家を開拓しようとした時とか、届いてみたらエロチカ本だった、なんてことがあります(笑)まー、大体は人物描写がおざなり、ストーリーもあまり関係なくて、そういう描写にさかれるページ数が多くて大胆、って感じでしょうか。どっちかというと、ターゲットは男性のような気もします。

投稿: Anna | 2006.06.04 19:30

>届いてみたらエロチカ本

ありゃりゃ、それはびっくりですよね。
アマゾンからの荷物を家人の前で開けてみたらエロチカだったりしたら、あたふたしちゃいそうです。

どうやら男性向けのと女性向けのと二種類あるみたいですよ(とうぜん両立は不可能ですな)。女性向けの(ロマンチカと言うべきかな?)は、男性が読んだら怒るか呆れるかするだろうなぁと思います(笑)。「こんな男いるかよ!」って。日本の男性向け官能小説読んでみた限り、都合がいいのはお互いさまですけどね。

投稿: bookgirl | 2006.06.05 06:58

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