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2006.05.25

Trust Me

Trust MeTrust Me
Jayne Ann Krentz

Pocket Books (Mm) 1995-09-01
売り上げランキング : 254,052
おすすめ平均

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コンピュータ・セキュリティ会社の社長 Sam Starkの結婚式の日、とうとう花嫁は現れなかった。実は新婦にすっぽかされるのは人生二度目のStark。天才肌のコンピュータおたくで感情を表に出さないStarkに、女性たちは不安を感じて逃げ出してしまうのだ。妻となる人物に苦手とする社交面を任せるつもりだったStarkだが、あてが外れたいま、ケータリング会社と契約して一切を任せるという妙案を思いつく。代々続いた演劇一家のなかで唯一の実業家Desdemonaは、売れない役者ばかりの身内を自分のケータリング会社に雇うことで一族の経済的基盤を支えている。Starkの会社から包括的な大契約を持ちかけられ、一も二もなくとびつくDesdemona。Starkの会社が主催するパーティを仕切ることはもちろんのこと、なぜか妻のかわりとしてStarkが参加するパーティに同伴することまで同意させられる。まったく正反対の性格ながらも急速に惹かれあうふたりだったが、Starkが開発しているセキュリティソフトが産業スパイに狙われ、Desdemonaまでもが危険にさらされることになる。

いつも本を読みながら心のどこかで分析している。ここが凄い、ここがイマイチ、ここが好き、ここが嫌い。レビューを書くためというのもあるかもしれないけれど、理系の性でしょうか。ところが、この作品については・・・わからない! なぜかわからないんだけれど、すごく楽しい。逆はよくあるんですよね、悪いところ見つからないのにつまらないってのは。でも、今回のようなケースははじめて。わたしの大好きなすれ違いもメロドラマもなし。ヒーローが超いい男というワケでもない。ストーリーはひょうひょうとして至極平熱なんだけれど、先を読みたくてたまらなくなる。苦手のロマンチック・サスペンスにもかかわらず5つ星です!
いいところとして唯一明らかになのはDesdemonaのキャラクター。すごく初々しいのにすごく大人なんだよね。普通だったら間違いなくすれ違いコースまっしぐらな恋愛の危機の数々を、素直に鮮やかに切り抜けてゆく様はお見事のひとこと。初めて結ばれたあと、早速おとずれたピンチでのあの切り返し方! いやー、同性ながら惚れそうです。
でも、Desdemonaのキャラクターが際立ってくる前からストーリーには引き込まれていたわけで、それだけが理由じゃないのは間違いないんですよ。なんでだ? いったいどこがいいんだろう。誰か知っていたら教えてくださいな。 2006.5.25★★★★★

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2006.05.20

Circus of the Damned

Circus of the Damned (Anita Blake Vampire Hunter (Paperback))Circus of the Damned (Anita Blake Vampire Hunter (Paperback))
Laurell K. Hamilton

Ace Books 1995-05
売り上げランキング : 295,861
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Master of the Cityの情報を求めて反バンパイア組織の人間がAnitaのもとを訪れる。Anitaは情報を与えることを拒み、彼らを怒らせてしまう。また、仕事の帰り道でAnitaは見知らぬバンパイアに襲われる。彼もAnitaにMaster of the Cityの身元を教えるよう迫る。誰もがMaster of the Cityの情報を求めてAnitaを狙っているようだ。そのころ街ではバンパイアによる連続殺人事件が起こっていた。警察の依頼を受けて遺体の噛み傷を調べたAnitaは、犯行が複数のバンパイアによってなされたこと、おそらくマスター・バンパイアとそのしもべたちが犯人であることを推測する。二番目のMarkを受けて以来Jean-Claudeを避け続けてきたAnitaだったが、セントルイスのMaster of the Cityである彼に犯人の心あたりを聞くために、AnitaはJean-Claudeに会いに行く。

【これはロマンスではありません?】
バンパイア・ハンターAnita Blakeシリーズ第三作(Guilty Pleasure, The Laughing Corpse)。
あいかわらずセンシュアルで耽美でバイオレントなグロいパラノーマル・ハードボイルド(笑)ですが、おっ、なんだかロマンスの香りがしてきましたよ! Jean-ClaudeはAnitaの目の前にいないときにはプレゼント攻撃なんかして非常に分かりやすいんですが、いざAnitaに面と向かうと何を考えているのかまったく謎。Anitaに好意を抱いているのか、欲望だけなのか、単に魔術師としてのAnitaを利用しようとしているだけなのか。でも、なんとなーくAnitaのことを想っているんじゃないかという様子がちらほらと見え隠れするんだけど、どう? Anitaの方もJean-Claudeを恨みつつ、憎みつつ、でもやっぱり気になる、みたいな。一筋縄ではいかなくってイイですねー。さらにはRichard登場でねじれた恋のトライアングル完成! いやはや、ロマンス的には面白くなってきました。Richardもなかなかいい男だけれど、やっぱわたし的にはJean-Claudeですよ。でもAnitaは死体とはデートしないとか言ってるし・・・。どうなるJean-Claude。がんばれJean-Claude。
世界設定そのものも第三作目ともあってかなり深みが出てきて面白いです。狼人間とかバンパイアとかがうじゃうじゃいるのに、それ以外はまったくノーマルな世界なのがユニーク。増えてきたキャラクターもみんな個性的。物語のほとんどを占める(ようにみえる)バトルシーンがたまに冗長に感じることもあるけれど、Anitaのビターなユーモアのセンスで楽しく読ませます。2006.5.20★★★★

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2006.05.14

The Bride of Black Douglas

The Bride of Black Douglas (Mira Historical Romance)The Bride of Black Douglas (Mira Historical Romance)
Elaine Coffman

Mira Books 2006-01
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1785年イギリス
Meleriは幼い頃に母親をなくし、痴呆症の老父と共にイングランド国境近くの田舎町にひっそり暮らしている。生後まもなく定められた許婚Waverly卿は見た目は麗しいが中身はとんでもなく危険で残酷な男だ。友人からの手紙から、Waverlyがロンドンで公然と愛人を連れて歩いているという話を知ったMeleriは、心を決めてWaverly卿に会いに行き、見事婚約解消を取り付ける。喜んだのも束の間、翌日彼から婚約解消を撤回する手紙が届く。手紙の内容から、いまや彼の異常な残酷さが自分に向けられたことを確信したMeleriは、着の身着のまま家を飛び出す。
スコットランドの没落貴族の長Robertは追い詰められていた。経済状況は危機的で、いよいよ居城そのものの存続も危うい。しかもRobertを危険人物として目をつけているイングランド国王からは「二週間以内にイングランド人の妻を娶るように」との命令が下される。やむなく嫁探しの旅に国境を越えたRobertは、狂ったように馬を駆る赤毛の少女に出会う。彼女が死んだ妹の仇Waverly卿の許婚であると知って、Robertは彼女を花嫁候補として連れて帰ることにする。Robertにとっては、王の命令とWaverlyへの復讐、両方を一気に叶える千載一隅のチャンスだ。
Meleri奪回を狙うWaverly、イングランド人であるというだけでMeleriに心を閉ざすRobert、朽ち落ちんばかりのBeloyn城、そして伝説の幽霊。Meleriは持ち前の気丈さで逆境を乗り越えていく。

これはロマンスなのか? というのが第一の感想。むしろプチ・ビルドゥングス・ロマンというか、Meleriの冒険物語なのでは? 物心ついたときからずっと孤独だったMeleriが逆境をのりこえて自分の居場所を獲得する、というのがメインのストーリーなのかも。あるいは、Meleriと幽霊がDouglas家の危機を救うという。どっちにしろMeleriとRobertのロマンスはメインという感じがしない。「Meleriが冒険の過程で手に入れた宝物のひとつ」という方がしっくりくる。いやいや、ひょっとするとヒーローはRobertではなくて幽霊なのかも! なにしろ、MeleriとRobertよりもMeleriと幽霊の方がずっと強烈なケミストリーがあったし、作品で一番感動的なシーンはMeleriと幽霊のシーンなのだ。
それからもうひとつ特筆すべきはラブシーン。いや、エロチカ読んだあとでまさにその対極をゆく奥ゆかしいラブシーンは新鮮でした。ふたりが初めて結ばれるシーンでは、コトが終わってしまうまで結ばれたことに気がつかなかったという(笑)。
冗談はさておき、Meleriのインパクトに比してRobertのキャラクターの弱さは否めない。憎きイングランド人であるMeleriへ心を開いていく過程もあいまいだし、そもそも彼にとっての最大の「葛藤」であったはずの妹とWaverly卿の関係に関する秘密は最後までMeleriに打ち明けずじまい。というわけで、ロマンス方面ではイマイチ満足感が得られなかった。MeleriがDouglas家に溶け込んでいく様子や、最後の宝探しのシーン、それになにより幽霊とMeleriとの交流は読み応えがあったのに。…それともやっぱり幽霊がヒーロー!? 2006.5.14★★★

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2006.05.03

エロチカとロマンスのはざまで

ロマンス専門誌"Romontic Times Book Club"を見ていると、よくもまあ毎月毎月これだけ出版されるものだと感心する。各出版社の広告ページでは新刊の表紙が紙面を賑わして、そこここで抱き合うカップルのイラストに眩暈を覚えるほど。そんな広告のなかでダントツに目を引くのは、実はハーレクインでもAvonでもなくて……そう、Ellora's Caveをはじめとするエロチカ系出版社だったりする。eBooksが主流なためか、表紙のイラストなんてもう手を抜きまくりで、ヒストリカル顔負けの爆笑系イラストで和ませてくれる。Ellora's Caveに至っては、頻繁に裏表紙にまで進出。エジプトっぽい露出系の衣装を身に纏った筋肉ダルマたち"Cavemen"の写真がずらりと並び、とてもお茶の間には置いておけない怪しい雰囲気を醸し出している。「エロいよ~!」と絶叫しているようなそんな広告を見るたびに思ったものだ。ロマンスとエロチカの境界はどこにあるんだろう?
だってほら、いわゆる普通のロマンスだって、モノによってはラブシーンは非常にホットだと思うのだ。微に入り細に渡って詳しく描写してくれたり、思わずドキドキするようなシチュエーションで実施してくれたりもする。それでもあれらは「ロマンス」であって、一方ここに「エロチカ」と名乗る作品群がある。興味がわきません? どうなっちゃうんだ、と。「ロマンス」と冠されないということは、全く恋愛という要素が入らないのだろうか? でも、私が考えるところの女性心理では、愛とセックスは非常に強く結びついているように思うのだ。どれくらい興奮するかは「何をするか」よりも「誰とするか」の方がよっぽど大きく影響するような気がして仕方ない。「エロチカ」は恋愛を絡めずに読者をドキドキさせることができるのだろうか? ひょっとして私がウブなだけなのか?
というわけで読んでみました、初エロチカ。

Passion in Paradise One: Paradise AwakeningPassion in Paradise One: Paradise Awakening
Jaci Burton

Elloras Cave Pub Inc 2003-08
売り上げランキング : 1,083,555

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舞台は快楽の孤島リゾート"Paradise Risort"。1週間の滞在のあいだ、めくるめく各種エロチック・アクティビティ(笑)を、恋人ないしは現地調達したパートナーと一緒に楽しむというトンでもないリゾート地だ。
ヒロインのSerena はカンザスの大学の文学部教授(弱冠28歳なんだけどねぇ)。実は性的好奇心旺盛なのだけれど、大学教官という立場と何でもすぐ噂が広まる田舎町というロケーションのせいで、非常に堅実かつ退屈な人生を送っている。眼鏡に色気のカケラもないファッション。でも一生に一度だけでも心のままに過ごしてみたいと、セクシーな衣装を買い込み一年分の貯金をはたいて、勇気を振り絞って"Paradise Risort"にやってきた。
ヒーローのMichaelはカリフォルニア在住のエロチック・サスペンス作家。愛する元妻に逃げられてから、女性には心をゆるさず身体のみの付き合いを続けてきた33歳バツイチ。ファッションモデルのガールフレンドと一緒にParadise Risortで楽しむつもりが、ドタキャンをくらってしまい、快楽の島でひとり新作の構想を練るつもりでやってきた。
リゾート側のミスで部屋をダブルブッキングされてしまったヒーローとヒロイン。他の部屋は満室だったことから、ルームシェアすることに。ついでにアクティビティのパートナーにもなって、一週間しがらみ抜きで思いっきり楽しむつもりだったのだけれど・・・・。
そう、お約束のように二人は恋に落ちてしまう。

なーんだ、やっぱりロマンスじゃん、とガッカリしたようなホッとしたような。
じゃあ何がロマンスとエロチカを分けるのかっていうと、単に比重の違いであるようだ。わずか172ページの短いこの作品の実に1/3以上がラブシーン! ほとんどひっきりなしのラブシーンの合間を縫うようにして、デートして喧嘩して恋に落ちるんだから忙しいことこの上ない。あとは表現がいささか露骨で野性的といいましょうか(笑)、ロマンチックというよりはひたすら激しい印象。ひっきりなしに神様の名前を連呼しているのがおかしい。でも、心配していたように(だったら読むなって?)変態プレーに走ったり、読んでいて気持ち悪くなるようなこともなく、意外に楽しく読めた。ヒロインがなかなか共感できるキャラだったからかな? 恋に落ちてしまって苦しむさまはなかなか切ないものがあったり。それにエロチックなんだけれど、どこかカラッとしている。背徳感は皆無で、なぜか健康的ですらある。
とはいえやっぱり食い足りない感が残って、私には普通のロマンスの方が性に合ってるなぁとシミジミ思った次第。ま、たまには肩の力を抜いてこういうのもいいかもしれないけれど。

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