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2006.03.29

Dreaming of You

Dreaming of You Dreaming of You
Lisa Kleypas

Avon Books (Mm) 1994-05
売り上げランキング : 86,828

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田舎町の小さな家で両親と慎ましく暮らすSara Fielding。四年来のお堅い恋人は一向にプロポーズする様子もなく、たまに素っ気無いキスを交わす程度。冒険や大恋愛に憧れる気持ちは秘めたまま、真面目に平凡な日々を送るSara。そんな彼女が娼婦を主人公にして書いた小説が大ヒット。次回作のための取材でロンドンの夜のスラム街をうろついていたSaraは、暴漢に襲われていた男性Derekを助ける。彼が有名なロンドン屈指の賭博場のオーナーであると知り、格好の取材材料に出合ったとばかりにSaraは大喜び。Derekの賭博場に出入りするようになる。最初は迷惑がっていたDerekもSaraの純真さに次第に惹かれていくが、闇の世界を這い上がってきた自分と関わってはSaraが穢れてしまうと、大切に想うがゆえに彼女を遠ざけようとする。

Then Came Youのスピンオフ。Devil in Winterで触発されて1年半ぶりの再読。まだちゃんとレビューも書いていなかったし。
いやー、Derek! なんとなくアルファ・ヒーローっぽいイメージが残っていたのだけれど、とんでもない。むしろ卑屈といってもいいキャラじゃないですか。下水道に産み落とされ(ゲ!)、両親も誕生日も知らないまま娼婦たちに育てられ、生き残るために当然のように犯罪を犯し、男娼として稼いだお金で始めた賭博場で大成功。裸一貫からロンドン一の金持ちにまでのし上がった超苦労人。自分に自信を持っていいはずなのに、自分には価値が無いと思っている。多分それは、心の底では「清く正しくあること」を求める気持ちが人一倍強いからなんだと思う。だからこそSaraに強く惹かれた、と。アピールされているのは「ヨゴれキャラ」ぶりなのに、何故かむしろ裏に秘められた「清さ」が際立っている。だからこそ、単なる不良ヒーローで終わらない魅力があるのかもしれない。
一方のSaraはこれとちょうど対照をなしていて、一見、真面目で堅実そうに見えるし(しかも眼鏡っ子)、自分もそう信じていて、自分が書く小説にあるような冒険や興奮は自身の手には入らないものと諦めている。でもそれは未知の世界への強烈な憧憬の裏返しなんですね。だからDerekに惹かれる。二人が本来の自分をお互いの手を借りて取り戻してくという、ストーリーなんですね。最初に読んだ時はとにかくDerekラブでそこまで目に入らなかった。きっと背骨がしっかりしてるから漫画的なのにリアルで説得力があるんだなぁ。
とはいえ、やっぱりDerekにトキメいて読むべき本なんだと思う。あんなイイ男に女神のように崇拝されるヒロインに自分を重ねてね(想像するのはタダだから)。その崇拝っぷりは痛々しいほどで、なんども「うぉぉぉ」と呻くこと請け合い(特にクライマックス!)。どこか映画的な描写もいい。前回の4つ星は辛すぎですね。返上して5つ星です。ちなみに、アンソロジーに入ったDerekとSaraの娘の話("Against the Odds")があるそうな。2006.3.29★★★★★

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2006.03.17

Sex, Lies, and Online Dating

Sex, Lies, And Online DatingSex, Lies, And Online Dating
Rachel Gibson

Avon Books (Mm) 2006-02
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34歳の人気ミステリ作家Lucyの次回作"dead.com"は、セックスの途中で相手を窒息死させる女性連続殺人犯の話。被害者男性のイメージ作りのための調査として、オンラインで知り合ったどうしようもない男たちとせっせとデートを繰り返していた。ところが、そんな負け犬の一人、"hardluvnman"との初デートでスターバックスに現れた相手Quinnを見てビックリ。ものすごくイイ男だったのだ。これほどの男性がオンラインで女性を漁っているなんて、とんでもない欠点があるにちがいない。ところで、Quinnがオンラインで女性を漁っていたのには当然理由があった。36歳の刑事である彼が捜査している連続殺人事件の犯人はどうやら被害者男性をネットでピックアップしている模様。そこでQuinnはオトリとなって、"hardluvnman"というHNでチャットルームを徘徊し、デートを取り付けて容疑者たちに接近していたのだ。その容疑者リストの筆頭であるLucyはとても魅力的な女性だった。殺人犯かもしれないと思いつつも、Quinnは惹かれる気持ちを抑えられない。

Rachel Gibson、ロマンチック・サスペンスに転向!?と思いましたが、一応ロマンスメイン。
互いに自分のことを偽ったままどんどん惹かれていってしまったり、その嘘がバレて修羅場ったり、なかなか私好みのすれ違い系で大好きな救出劇まであるんだけれど、読後感はもう一息って感じ。何故だろう。これといって悪い点も思いつかないのになぁ。ヒロインのキャラが若干ぼやけてたのかな?
Quinnはいいですねー。過去に麻薬捜査で性格すさんじゃって、っていう設定はあまり活かされてなかったような気がするけど、Lucyを犯人と信じつつも好きになってしまうところが何故か非常に説得力があった。殺されるかもしれないと思いながらキスしてるんですよ、このヒトは。有り得ないのに、それがなんとも切ない究極愛なのだ。だけどRachel Gibsonなので、エモーショナルだけど基本のトーンは明るく軽い。
作家が主人公ということで、素人からの批判に顔がひきつったり、スランプで書けなくなって途方にくれたり、執筆生活や創作術の描写は当然ながらとてもリアルで面白い。コンマの使い方なんかで批判されるんだなぁ、とかね。
ね、悪くなさそうでしょう? 不思議だ。不思議だけど好きな作家なのでちょっと辛めに3つ星。ちなみに次回作はLucyの作家仲間でロマンス作家のClareがヒロインのスピンオフ。シリーズ化か? 2006.3.17★★★

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2006.03.10

Devil in Winter

Devil In Winter Devil In Winter
Lisa Kleypas

Avon Books (Mm) 2006-03
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幼いときに母親が死に、父親は賭博場の経営者。娘を育てる環境ではないということで、Evieは母方の親戚に預けられるが、叔父・叔母の手によって精神的にも身体的にも虐待されて育つ。病に倒れたEvieの父親の死が近いと知るや、Evieの相続する財産を狙った親戚たちは、無理やりEvieを従兄弟と結婚させようとする。遺産が手にはいって用済みになれば、きっと自分は殺されるに違いない。自分の命を守るためには、誰か別の人間と結婚するほか道はなかった。でも、あまりにシャイで吃音も酷いEvieは壁の花中の壁の花。相手にしてくれる男性などいない。一方、不良貴族のSebastianは公爵家の跡継ぎでありながら、経済的に困窮を極めていた。結婚によってもたらされる富を狙って財産家の娘を誘拐したという過去すらもっている大悪党だ。しかしそこまで追い詰められている人間ならば自分と結婚してくれるかもしれないと、Evieは最後の望みを託してSebastianに便宜結婚を申し込む。

Wallflowersシリーズ第3作(Secrets of a Summer Night/ It Happened One Autumn)。はっ。夏、秋、冬となってることに今気がつきました(笑)。ちなみに次作は"Scandal in Spring"で春ですね。
前作の感想で、『おとなしいEvieにちゃんと主役がはれるのか、完全な悪役に堕ちたSt. Vincentにヒーローがやれるのか、若干不安だなぁ』な~んて書きましたっけ、私。馬鹿ですねぇ。おとなしいヒロインは実は芯が強いのが常識だし、「不良更生モノ(Reformed Rake)」は定番中の定番じゃないですか。ばっちり感動的な愛の物語になってます。
Sebastianがいいです。前作で傍から見ていたときにはマジで悪い奴でしたが、ヒーローになってみると私好みの馬鹿男系。Evieに惹かれて戸惑ったり、欲望して悶々としたり、一生懸命誘惑したり、ホントかわいい。意外と素直で尽くすタイプなのだ。これ、前作から順番に読まないと「どこが不良やねん」てなことになって、面白みも半減するかも。
Evieが父親から相続した賭博場に殆ど引きこもり状態でストーリーが展開。ラッパ鳴り響きーの、花火あがりーのといったドラマチックなストーリーではなく結構地味です。5つ星つけるにはメロドラマ度が若干足らないかな。でも、Sebastianの愛情表現が細やかかつ多彩で、Evieの愛されっぷりにトキメクこと請け合いです。「ヒロインにめろめろなヒーローが好き」という人には特にお勧め。そうそう。Evieのお父さんのライバル、伝説の賭博場オーナーとして、あのDerek Cravenの名前が何度か出てきます! ああ、なんだかDreaming of You、また読みたくなっちゃった。2006.3.10★★★★

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2006.03.04

Naked in Death

Naked in Death (In Death (Paperback)) Naked in Death (In Death (Paperback))
J. D. Robb

Berkley Pub Group (Mm) 1995-07
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おすすめ平均

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2058年、ニューヨーク市。
政府公認の娼婦が自宅のベッドで殺害される。現場には犯行に使われた拳銃(前世紀の遺物の骨董品)と、連続殺人を示唆する"ONE OF SIX"と書かれたメモが。実はこの娼婦、将来の大統領と目されている上院議員の孫娘でもあったため、議員の介入もあったりして捜査は一筋縄では進まない。この事件を担当するのがニューヨーク市警察(NYPSD)の女性警部補Eve Dallas。有能だが仕事中毒気味のクールな30歳。被害者のアドレス帳に並ぶ名前の中から、拳銃のコレクターで、犯行のあったマンションの警備に詳しい人間として容疑者リスト筆頭に躍り出たのが、謎めいたアイルランド人の大富豪Roarkeだ。ところが被害者の葬儀で初めて顔をあわせたEveとRoarkeは刑事と容疑者という立場にも関わらず、心ならずも互いに強く惹かれあってしまう。そうこうするうちに、第二、第三の殺人が起こって、Eveは立場的にも精神的にもどんどん追い詰められていく。

すでに二十冊以上出ている人気シリーズ、"In Daeath"シリーズの第一作。日本でもイヴ&ロークというシリーズ名でお馴染み。
ロマンチック・サスペンスというよりは、ロマンチック・ハードボイルド。あるいはハードボイルドチック・ロマンス? 謎解きには興味ないけどハードボイルドは嫌いじゃない私の好みにバッチリです。しかもロマンス配合比も高い。嬉しいですね、こういう作品。設定が未来っていうのもユニークだし、しかもその設定の使い方がさりげないのが好感度高い。
タフで男前だけれど孤独で不幸なヒロイン(痛々しさ加減がモロ好み)が、美形の大富豪(プレゼントがコーヒー豆だった時に惚れました)にみそめられて幸せになるってのは、「ありえなーい」って感じだし、ましてや大富豪はヒロインに数回会っただけで『恋に落ちて』しまうっつーのはもっと「ありえなーい」という感じなのだけれど、実際に読むと違和感は驚くほど感じない。すんなり納得できてしまう。プロージビリティとリアリティというのは別ものなのだなぁとつくづく思いました。惜しいのは、ロマンスのペースがいくらなんでも速すぎるってこと。すれ違いマニアとしては物足りないです。どうせシリーズになるのなら、もっともっと焦らして欲しかった! 果たしてこれから先の展開でちょっとは焦らしてくれるのか? 気になるので続きを買ってしまいました(笑)。
面白くて展開も速いし、非常に読みやすい英語で書かれていて、しかもちょっと短め(306ページ)なので、ロマンス洋書に始めて手を出してみようかなという人にもお勧め。2006.3.4★★★★

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