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2006.02.27

Fatal

FatalFatal
Michael Palmer

Bantam Books (Mm) 2003-09-30
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鉱山に支えられた南部の田舎町Belindaで開業医を営むMattは閉所恐怖症の男やもめ。最愛の妻は肺がんで亡くなったのだが、家系的にも生活習慣的にもかかるはずのなかった珍しいガンだったため、Mattは鉱山の廃棄化合物が発症の原因に違いないと信じている。父親も鉱山の事故で失っており、鉱山会社BC&Cの安全衛生対策には強い不信感をもっているのだ。MattはBC&Cの管理体制に対する調査を再三要求するが、相手もなかなか尻尾を出さない。今ではすっかり狼少年状態で、誰も相手にしてくれなくなっていた。ところが、そんなMattの元にBC&Cの廃棄物不法投棄場所を告発するメモが届く。一方、町の鉱山労働者の間では妙な神経線維種が流行しはじめていた。廃棄物に含まれる化合物が原因に違いないとMattは一人キケンな調査を開始する。

【これはロマンスではありません】
廃棄化合物の不法投棄、謎の風土病、政治がらみの新ワクチン承認、起こるはずのなかった伝染病。ワクワクするような材料が互いに絡み合って(実は一部絡まってませんが)、野心的なプロットが展開されるメディカル・サスペンス。キャラクターは魅力的だし、アクションシーンも見事。
しかし「スカリー」がいないってのがマズイですね。あの「Xファイル」のスカリー捜査官のことです。主人公のMattは思い込みの強さといい、無鉄砲さといい、「モルダー」と同系列の愛すべき暴走キャラ。主人公が暴走しちゃうと読者は置いてきぼりくらっちゃうことになるから、それを止める役割を果たす人間が必要になる。でも、この作品では誰も止めてくれない。皆一緒に走っていってしまう! 「ワクチンの中にプ***が入っているんだ!」と物凄く飛躍した議論を展開したときも、みんな「そうだ、そうだ!」ってな具合。誰か突っこんでよ、「それ飛びすぎです。K点こえてます」って。いいんです、論理なんて飛躍したって。結局はいつもモルダーが正しいんです。ただ、「そんなわけないじゃん」ってつっこむスカリーがいるのといないのとでは、リアリティが違ってきませんか? もしもNikkiがスカリー役を果たしていれば、もっともっと面白くなったと思うんだけど。
ロマンス・ファン的には「男のファンタジー」を興味深く見せてもらった気がします。女性が「魅力的な男性に誘惑される」というファンタジーを持っているように、男性も「魅力的な女性に『あなたは命の恩人よ』と突然キスされる」というファンタジーを持っているのだなぁって。一緒だねぇ。・・・はっ、両方待ち姿勢じゃん。どうりで現実には小説のようなロマンスが発生しないわけだ。 2006.2.27★★★

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2006.02.12

ブログ内検索

だらだらとキロクし続けているうちに読書キロクも増えてきて、5つしかないカテゴリでは処理しきれなくなってきました。「えーと、あの本、どんな内容だっけ?」と自分で自分の過去の読書キロクを探すのも一苦労。こんなとき、ブログ内検索ができればいいなぁと思っていたんですが、いや、あるとこにはあるものですね。
暴想さんという方のサイトでブログ内検索用のJavaScriptをゲットしました! すごいなぁ。便利な世の中です。ページ右上にありますので、お時間のある方はちょっと何か入れて遊んでみてください。スペースを入れればAND検索もできます。
ココログをご利用の方はどなたでも使えるということですので、是非一度暴想さんのサイトに行って見てください。

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A Well Pleasured Lady

A Well Pleasured LadyA Well Pleasured Lady
Christina Dodd

Avon Books (Mm) 1997-08
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1793年イギリス。
やむにやまれぬ事情で殺人を犯してしまったMary Fairchild。身分を隠し、名前を変えてスコットランドに逃げてきて10年、今ではLady Valeryの屋敷の女中頭として充実した日々を送っていた。ところがある日、Lady Valeryを訪ねてきた客人Sebastian Durantを見てビックリ仰天。事件の直後、血まみれの姿を目撃されていた男性だった。どうやら彼の方は気付いていない様子でホッとしたのもつかのま、Sebastianの訪問の理由を聞いてまたビックリ。何故かMaryがFairchild家の人間であると知っていて、Maryに婚約者を装って一緒にFairchild家を訪問して欲しいという。Sebastianは行方不明になっていたLady Valeryの日記がFairchild家に隠されていると信じていて、何がなんでも家捜ししたい。ところが過去にDurant家没落の原因を作ったFairchild家とは犬猿の仲で、突然訪問するのでは怪しまれるというのだ。Lady Valeryの日記には過去の華麗なる男性遍歴の記録も綴られており、暴露されれば政府転覆にも繋がりかねない危険な内容のものだった。Maryは敬愛するLady Valeryのために依頼を受け入れ、しぶしぶSebastianとともにFairchild家に向かう。

うーん。All About Romanceのレビューで絶賛されていたし、あそこのレビューは私の好みに結構合うので凄く期待してたんですけど・・・。
たしかに主人公のキャラクターは興味深いし、二人の間のムムム感(?)もなかなかのものだし、個性豊かな脇役を上手くつかってるし、プロットも面白いんですけれど、どうもこう、満足感がイマイチ。二人の心の動きがあまりフォローされていないのが原因かもしれない。そんな、突然燃え上がられてもコマリマス、って感じ? Maryなんて半分二重人格入っているような複雑なキャラで、そんな彼女がどうやって恋におちたのか、これかなり丁寧に描いてくれないとわかりません。Sebastianについても特に前半あまり筆が割かれていないし。ロマンス以外のプロットを進めることと脇役の充実にかなり力を注いでいる感があるので、真性ロマンスファンには食い足りないかも。ただ、たしかに脇役は凄いです。Lady Valeryとか、傑作です(老いてなお・・・)。
二人の最初のラブシーンが結構かなりギリギリの線(笑)で、物議をかもしているそうです。私は「うーん、ま、いっか」という感じでしたが、この辺りの許容範囲が狭いかたは要注意。
しかし、すごいタイトルですねぇ。2006.2.11.★★★

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2006.02.03

Vanity and Vexation

Vanity And Vexation: A Novel Of Pride And PrejudiceVanity And Vexation: A Novel Of Pride And Prejudice
Kate Fenton

Griffin 2005-07
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Nicholas Llewllyn Bevan、通称Llewはウェールズ出身の売れないサスペンス作家。専業作家になるため新聞社をやめたとき、野心家の妻が愛想をつかして出て行ってしまってバツイチ。現在はNorth Yorkshireにある義理の弟Johnの家の離れに住んでいる。パブでの噂話とクリケットくらいしか娯楽のない平和な田舎町だったが、TVドラマ「高慢と偏見」の撮影隊がやってきたから大変。地元のダンスパーティに遊びに来て住民の度肝をぬいた人気女優のCandia Binghamは、なんとJohnとすっかりイイ感じになってしまう。LlewもまけじとTV・映画界のサラブレッドであるアメリカ人の監督 Mary Danceに声をかけようとするが、お高くとまったMaryは田舎作家のLlewなど歯牙にもかけない。しかも彼女が自分のことを"Halfway presentable"と評するのを耳にして、Llewはムッとするが・・・。

"Pride and Prejudice"(「高慢と偏見」)の男女逆転バージョン。以前"Lions and Liquorice"のタイトルで出版されていたもの。Llewがリジー、Johnがジェーン、Candina BinghamがMr.ビングリー、Mary DanceがMr.ダーシーという配役。P&Pでの貴族に相当するのがセレブたちってのがいかにもです。
何といっても特筆すべきは作品の真ん中にあるツイスト、大どんでんがえし。確かに「えーっ」とビックリする。けれど、どうよ? SFやファンタジーなら歓迎されるでしょう。でもミステリでこれやったら石投げられるかも。そしてロマンス的には・・・いやー、やっちゃ駄目でしょう。ま、作品全体がパロディで一つの大きな冗談みたいなものだから仕方がないですけど。真性ロマンスファンとしてはストレートに勝負してほしかったなぁ。
全体的に飄々として軽妙洒脱。イギリスーって感じ(なんやそれ)。雰囲気はなかなか良いけど、頻発するジョークの半分は高尚すぎて理解不能。特に前半は文章が洒落すぎで読みにくくてしょうがない。前に読んでから二年経つので少しは読めるようになったかと思ったけれど、いやぁ、やっぱり読めません。ポスト・ツイストの後半部分はスラスラ読めるんだけどね。
そんなこんなで、ロマンスとして食い足りないのと冗談が難解すぎる(笑)ので今回は3点。また二年後に挑戦します。2006.2.2★★★

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