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2006.01.21

Gone Too Far

Gone Too FarGone Too Far
Suzanne Brockmann

Ballantine Books (Mm) 2004-03-10
売り上げランキング : 120,600
おすすめ平均

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海軍特殊部隊の"Team Sixteen"のメンバーSam Starrett大尉は、半年前に離婚手続きを始めたまま姿を消した妻のMary Louを追ってフロリダまでやってきた。ところがたどり着いたMary Louの住居でSamを迎えたのは頭を打ちぬかれた女性の腐乱死体。母親と一緒にいる筈の幼い娘 Haleyの姿はなかった。そのころ、半年前に基地で起こった大統領暗殺未遂事件に使われた凶器にMary Louの指紋が発見されて大騒ぎ。Samは尋問のために召喚されるが、犯人に連れ去られたに違いない娘を放っておけないSamは、元恋人(?)でもあるFBI捜査官のAlyssaの隙をついて逃亡。FBIから身を隠しつつ独自に捜索を進めるSam、FBIのお尋ね者となったSamを追うAlyssa。知力の限りをつくした二人の追いかけっこが始まる。一方、サンディエゴでは"Team Sixteen"のリーダーTomが、暗殺未遂事件のスケープゴートとして、テロ協力者の疑いをかけられ監禁されていた。

Troubleshootersシリーズ第6作 (The Unsung Hero, The Defiant Hero, Over the Edge, Out of Control, Into the Night)
わぉ、わぉ、わぉ。ファンの大きすぎる期待をさらに上回るすごい出来です。
はっきりいって、半分反則。なにしろ主役の二人には5冊分の歴史がある訳だし、プロットについても前作丸々お膳立てに費やしてるのだから、いい作品になって当たり前。でも、その当たり前で終わってないところが凄いね。恋愛においてはSamが追いかけAlyssaが逃げるという関係になっている二人を、プロットでAlyssaにSamを追わせる形に持って行っているのが良い。この追うものと追われるものの関係が裏腹になっているのが堪らなくエキサイティング! じっとしてても強烈な二人がそんな大変なことになってしまって、いやもう、読みながら興奮しっぱなしでした。そして何といっても、Samですよ。決してナイーブではないのに、素直で一途。タフなくせに泣き虫で、今回も泣きまくりです。泣かせます。我らがSamの子供時代のエピソードが一杯入ってたのも嬉しい。
主役のロマンスが凄ければ、脇役のロマンスも凄い。MaxとGinaの歳の差カップルがキてます。この二人も元々いいケミストリー持っていたけれど、今回は更にMaxのキャラに深みが増してレベルアップ。頭脳明晰冷静沈着なMaxが混乱して自分を見失ってる様は痛々しいやら色っぽいやら。これは主役はれるなぁ、と思ってたらシリーズ最新作では主役やってるみたいですね、やっぱり。
Marry Louについては「あ、手抜きやがった!」って感じです。個人的にはTomとKellyのエピソード省いてでも、もっと突っこんで欲しかったかな。絶対いいヒロインになれたのに。あと、第二次世界大戦のエピソードを入れるっていうスタイルを踏襲したい気持ちはわかるけど、あれは殆ど意味なかったですね。しかもちょっと説教がかって逆効果。神聖なエンターテイメントをプロパガンダの道具にしてはいけません! 作品全体のレベルが高かったのでギリギリ許せるけれど、あと一歩踏み越えてたら人権研修の教材になってましたぜ。訴えたい気持ちが強かったのだろうけれど、SamとAlyssaの愛を見せれば充分なのにね。
全体的に怪我人・死人が多すぎですが、それに見合ったテンションを保ってます。いや、もう、とにかくスペシャルな一作。ブラボー。2006.1.21★★★★★

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2006.01.15

プライドと偏見

映画「プライドと偏見」を見てきました。
BBCバージョンの「高慢と偏見」の大ファンとしては期待半分、不安半分だったのですが、いや~良かったですよ!

原作で文庫本二冊分、BBCバージョンで300分という内容をどう2時間に納めるのかが一番の不安の種だったのですが、リジーに完全フォーカスすることで上手くまとめていました。魅力の一つである脇役のキャラクターがかなり単純化されていたり、コミカルな部分がごっそり切り落とされていたのは残念でしたが、その分ロマンスはシンプルだけど勢いがありました。原作やBBCバージョンだとお互いに反感を抱いていた二人が徐々に恋に落ちていくわけですが、映画では殆どあったその日に惚れています。2時間では恋に落ちてる暇がないという苦肉の策かもしれませんが、これはこれで若々しいスピード感があって良かったです。演出はかなりドラマチック寄りで(なにしろ1回目のプロポーズが何故か雨の中だよ!)、その辺も私好み。
リジー役のキーラ・ナイトレイが無茶苦茶カワイイ。あのちょっと歪んだ、困ったような笑顔とかたまらんですね。大画面に映えまくりです。私の抱いていたリジーのイメージにくらべると若々しくて情熱的でストレート。でも、BBC版「高慢と偏見」とは全く別の作品としてこの映画を見られたのはひとえに彼女の演じたリジーのキャラクターの強さのお陰です。作品の雰囲気を殆ど一人で作りあげてました。
そしてダーシー役のマシュー・マクファディン。コリン・ダーシーに較べると傲慢さはかなり控えめ。ナイーブさやシャイさを前面に出したダーシーで、迷子の仔犬みたいな視線がたまりません。リジーと目があうと逸らすんですよ(キャー)! 可愛すぎ。リジーの手をとって馬車にのせたあと、その手の感触を思い出すようにこっそり指を動かすとことか、「初対面の人と話すのは苦手」と告白する声がちょっと震えてるところとか、母性本能直撃です。コリン・ダーシーのような圧倒的な引力はありませんが、家に帰ってから「あ、もう一回見たいなぁ」と思わせる、後を引く魅力の「優しいダーシー」でした。

フォルテピアノのくせに何故グランドピアノみたいな音がするのかとか、朝もやのなか現れたダーシーはどこでレディ・キャサリンから話を聞いたのかとか(ロージンズパークから歩いてきたのか?)、謎はつきませんが、いいのです。感動したから。結果オーライです。
BBC版と較べて辛い点をつけるレビューも多いみたいですが、私は全然別の作品として気に入りました。絶対DVDも買っちゃうと思います。しかし、こんな風に違う解釈をしても作品として破綻しない原作の懐の広さには脱帽ですね。

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2006.01.13

The Veil of Night

The Veil Of Night (Signet Eclipse)The Veil Of Night (Signet Eclipse)
Lydia Joyce

Eclipse Pr 2005-04-30
売り上げランキング : 850,368

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1864年イギリス。伯爵家の道楽息子JackはRaeburn公爵に多額の借金があった。返済の見込みもないJackにRaeburnは法的手段に訴えることを仄めかす。家名に傷がつくことを恐れたJackの姉、32歳オールドミスのVictoriaは、Reburnの屋敷まで返済期限延長の交渉に出かける。Raeburnは廃墟同然の屋敷に引きこもって社会との交わりを絶ち、夜にしか出歩かないという噂の謎の多い人物。陽も差し込まない屋敷の異様な雰囲気に呑まれながらも、Victoriaは弟が伯爵の地位を相続するまで返済を待って欲しいと要求。それに対してRaeburnの出した条件は、Victoriaが一週間屋敷に滞在し、Raeburnの意のままになること、というものだった。

前半は正直、「もうこの作者の作品を読むことはないなぁ」と思いましたよ。ちょっと「嵐が丘」を思わせるオドロオドロしい雰囲気は大したものだったし、矢継ぎばやのラブシーンも大胆と言えなくもなかったけれど、なんとなく全体的にドライ。様式美を追求しすぎて心に迫ってこないタイプの作品かなぁ、と。ところが、じわじわとそれが変わっていって、後半はもうトキメキっぱなしでした。
一週間限定「愛の奴隷(^^;)」なーんていうエロチカ設定の割りには、後半はほとんどラブシーンがありません。じゃあ何してるかっていうと、互いに相手を知ろうと探りを入れあうわけです。仮面をつけて他人に心を閉ざし、大きな秘密を抱えて生きてきた二人が、怯えながらも徐々に相手に心を開いていく。台詞は殆どなくて、お互いの心情が変わりばんこにひたすら綴られるだけなんですが、これが何故か読ませる。VictoriaのもどかしさやRaeburnの切なさに「うぉぉ」と悶えっぱなしでした。自分をさらけ出すということは、服を脱ぐことよりもずっとずっと勇気のいる行為なのだなぁ、と。
定型キャラの定型設定で予想外の展開もないストーリー。でも、とってもとっても感動しました。心の動きが丁寧に書かれていたからかな。どっぷり感情移入して、最後は主人公と一緒にハッピーになる。これぞロマンス。最近満点出しすぎなのでちょっと辛くしようかとも思ったのですが、デビュー祝いということで。2005.1.13★★★★★

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2006.01.09

Into the Night

Into the NightInto the Night
Suzanne Brockmann

Ballantine Books (Mm) 2002-11-26
売り上げランキング : 129,483

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大統領とその娘が、海軍特殊部隊の"Team Sixteen"が駐在するサンディエゴの基地に視察にやってくる。アフガニスタン侵攻真っ只中の大統領訪問は、海軍側としては迷惑以外の何者でもないが、次の大統領選を控えてイメージ作りに余念のないホワイトハウス側はなんとしても成功させるつもりだ。その視察に先立ってホワイトハウスの広報官Joan DaCostaがお膳立てにやってきた。彼女のお守り役に任命されたのが"Team Sixteen"のメンバー、"King of Polite" Mike Muldoon中尉。抜群のルックスのお陰で相手の女性には事欠かないMikeだったが、実はシャイで自分から女性を口説いたこともない。知的で明るく積極的なJoanの相手をしているうちに好意を抱き、何とか振り向かせたいとSamの指導の下(笑)に奮闘するのだがなかなか上手くいかない。それもそのはず、Joan自身もMikeに惹かれていたのだが、恋に落ちては大変と自分の心にブレーキをかけていたのだ。7つも歳下。おまけにサンディエゴとワシントンDCは大陸の西と東。本気になったら傷つくのは必至だ。しかし、惹かれる気持ちを抑えきれず・・・。一方、そんな二人の周辺では、視察に訪れる大統領を暗殺しようと、アルカイダのメンバーが着々と準備を進めていた。

Troubleshootersシリーズ第五作。
(The Unsung Hero, The Defiant Hero, Over the Edge, Out of Control)
私にとって、この作品の主役は絶対にMary Lou! 頭も心も弱くてホント駄目な女なのは間違いし、"SEALの妻"への固執は殆ど病気。でも、病気って本人に罪はないんですよね。アリガチだけれど駄目な親の元で不幸な少女時代を送っていて、自尊心を育てることなんて不可能だった。不幸から抜け出したいと周りを不幸に落としいれ、そして自分も更に不幸になるという不幸のスパイラル。SamとMary Louの結婚生活の描写はホントに悲しい。そんなMary Louが生まれて初めて本当の愛情を知る過程がサイドストーリーなのですが・・・。ああ、幸せになってくれMary Lou。あ、Samもね。
多分、シリーズ前半の山場であるSamとAlyssaを主役に迎える次作へのブリッジの役割を果たしているこの作品。Samがロマンスやれる環境作りという意味あいが大きかったのでしょう。主役のロマンスは何となく影が薄い。ヒーローMikeのキャラクターは二面性を狙ったのだろうけれど、イマイチ説得力に欠けてなんだか二重人格みたいだったし。私の想像力不足かもしれないけれど、礼儀正しく真面目な彼がカジュアルセックスに浸ってたというのはどうも納得がいかない。あとは、いつも通り第二次世界大戦話としてJoanの祖父母のロマンス。舞台は太平洋戦争ということで、若干居心地悪かったです。やっぱり私も日本人だなぁと。クライマックスの大統領訪問のシーンは圧巻。ドキドキしてページを繰るのがもどかしかったです。あと、舞台がサンディエゴということで"Team Sixteen"のメンバーの普段の生活や、昔の登場人物たちのその後が伺えたのも楽しかった。Kellyたちが奥様連中の集い(?)で見てたのは「高慢と偏見」だよね?
主役のロマンスはイマイチでしたが、やっぱり文章楽しいし物語の持っていき方上手いし、何しろMary Louが頑張っていたので5つ星。2006.1.8★★★★★

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2006.01.03

Guardian Angel

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Julie Garwood

Pocket Books (Mm) 1990-05-01
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Cainewood侯爵、通称Caineは、伝説の義賊Paganの名をかたって夜な夜なロンドンの街に繰り出していた。というのも、弟Colinを殺したのがPaganであると信じているCaineは、Paganをおびき寄せて敵を討とうと考えていたからだ。ところが真夜中の酒場に彼に会いにやってきたのは、怯えきった赤毛の美少女Jadeだった。「私を殺して」とCaineに依頼するJade。ある殺人を目撃したばかりに追われる身となってしまったJadeは、悪人の手にかけられるくらいなら安らかな死を選びたいと言うのだ。Caineは殺すことは出来ないが、Jadeの身を守ろうと約束する。ところが、実はこれ、Caineの性格を知り尽くした上でJadeが打って出た演技だった。Jadeの真の狙いはCaineの身辺で彼の身を守ること。

未読の"Lion's Lady"に続き、昨年7月に読んだ"The Gift"へと続く、シリーズの2作目なのですね。
"Lion's Lady"を読んでいなかったことはそれほど影響なかったかと思われるけれど、"The Gift"を先に読んでいたというのはマズかったです。いや、ネタバレどうこうという問題ではなくて。なにしろ読んだのが随分前なので細部は覚えてないですから。覚えているのはNathan(というのはJadeのお兄さん)がPaganだということだけなんだけれど、それがマズかった。というか、むしろよかったのかな?
最初登場するJadeは子猫のように怯えきった弱々しいお馬鹿さん系ヒロイン。ヒーローの保護本能直撃タイプ。アリガチかな、と何の疑問も抱かず読み進めていたら、それが全部演技だというじゃありませんか。いや、Caineも騙されたけど私も騙された。「Paganの妹にしてはか弱いなぁ」と。いやはや、ダブル馬鹿。そして明かされる衝撃的なPaganの過去! というか、こんな変則的な順番で読んだ人にとってのみ衝撃的な(笑)。
策略に長けた天才的な嘘つき。怯えることを恥とする親分肌のJade。でもそんな鎧の下には傷つきやすく純粋なハートが隠されているわけで。あからさまに愛情をぶつけてくるCaineに惹かれながらも、「いつかは去っていってしまう」という根拠のない不安を捨てきれない。逃げられるくらいなら逃げてやるとばかりに、何度もCaineの元から脱走を繰り返すJade。そのたびに何故か居場所を突き止めて迎えに現れるCaine。二人の追いかけっこロマンスに、とある反国家的組織の陰謀を絡めて盛りだくさんのストーリーなのですが、惜しいかなCaineのキャラが弱い。「Jade好き好き」なのは良いけれど、もう一押何か欲しかった。でも、正月早々アツアツのロマンスを楽しめてよかったです。2005.1.3★★★★

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2006.01.01

Leaving Normal

Leaving Normal (Mira Romance)Leaving Normal (Mira Romance)
Stef Ann Holm

Mira Books 2005-10
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大学生の娘を持つ43歳のNatalieはバツ1。夢の結晶である自分の花屋の開店を控えて大忙し。妹にはそろそろいい人を見つけるべきだとハッパをかけられるのだけれど、離婚後はじめて付き合った男性に手ひどく裏切られて以来、恋愛には消極的。そんな彼女が唯一トキメキを感じるのはお向かいに住む34歳の消防士Tony。何といっても彼は消防士カレンダー(そ、そんなものが!?)の五月のページを飾るほどのセクシーでハンサムな男性なのだけれど、彼に惹かれる一番の理由は、既婚者の彼が「対象外」で「安全」だからなのだとNatalieは自分でも分かっている。しかし、そんな彼が妻の浮気で離婚してしまい、すっかり事情が変わってくる。安全だったはずの彼がNatalieの心の平和にとって一番危険な存在に。

全く期待していなかった(じゃぁ何で買ったんだろう?)んだけれど、予想に反してかなりの佳作でした。
テストステロン過多なマッチョボディに潜む女顔負けの繊細なハート。文字通り命がけで他人を救う自分の仕事にこれぞ天職とばかりに打ち込み、連れ子を自分の子供のように愛し、子猫まで救ってしまう(これはちょっとやりすぎ)。すりよってくる美女たちにも「僕という人間も知らないくせに」とちょっと引き気味。どうよ? すごくない? 女のファンタジーを具現化したような魅力的なヒーローなのです。そんな彼に明らかに好意を示されてハッピーなはずのNatalieですが、問題は9歳の歳の差(!)とTonyが自分の子供を望んでいるという事実。一人目を産むときにも苦労したNatalieにはいまさらもう一人産む自身はないし、そもそもTonyにはもっと若くて綺麗な女性が相応しいはず。Tonyに惹かれながらも、もう傷つきたくはないというNatalieの葛藤。
300ページ以上経って初めて結ばれるという、信じられないほどスローペースの恋愛ですが、その分リアリティはバッチリ。ためらうNatalieの気持ちを理解し、じっと待っているTonyが素敵すぎます。そこにNatalieの父親の微笑ましいロマンスが絡んでくるんですが、ここにまたアッと驚く仕掛けもあったり。私好みの「嵐のようなドラマチック大恋愛」という訳ではありませんが、たまにはこんなしっとりした大人のロマンスもいいものですね。2005.12.30★★★★

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