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2005.06.25

The Defiant Hero

0804119538The Defiant Hero
Suzanne Brockmann

Ballantine Books (Mm) 2001-02-27
売り上げランキング : 120,924
おすすめ平均

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「娘はあずかった。命令に従わなければ娘の命はないぞ」
カザベキスタン(ウズベキスタンのようなカザフスタンのような)大使館の通訳であるMegは娘をテロ組織に誘拐され、彼らのライバル組織のリーダーRazeenを大使館から連れ出してくるように命じられる。Razeenを人質にとって大使館の男子トイレに立てこもるMeg。政府側の交渉人として海軍特殊部隊の中尉、Nilsを指名する。実はMegのカザベキスタン駐在時代に、作戦でアメリカ大使館に来たNilsと短い時間を共にして、互いに惹かれつつもMegが人妻ということもあって別れたという過去があった。3年たってもMegのことが忘れられずにいたNils。彼女が立てこもっていると聞いて驚愕する。そんなことをする女性ではない。何かあるはず。Nilsは大使館に急行する。

Troubleshootersシリーズ第二作。
一作目の"The Unsung Hero"と全く同じ構成。テロリストをめぐるプロットをからめた主人公のロマンスと、脇役のロマンスが二本。そのうち一本は第二次世界大戦中のロマンスの回想というところまで一緒。更には、脇役のロマンスが完全に主役のロマンスをくってしまっているところまで一緒という(笑)。脇役ロマンスは素晴らしい出来。まずは"The Unsung Hero"でも出てきた海軍の女スナイパー、現在は転職してFBIの対テロ部門にいるAlyssaと、Team SixteenのメンバーSamのロマンス。惹かれあいながらも顔をあわせては対立してばかりの二人が、何と手錠プ○イ! コミカルな面を前面にだしつつも、二人の強烈なケミストリーで物凄い迫力を醸し出してる。シリーズ5作目の"Gone Too Far"では主役をはってるそうだ。当然ですね。あとはMegの娘ともども人質に取られている祖母のEveの回想ロマンス。これがねー、ちょっと泣けます。いや、戦争モノは反則だわ。しかも「あっ」と言わされるヒネリも入ってて素晴らしい。その一方、MegとNilsのロマンスは・・・。二人の(特にMegの)気持ちが全くといっていいほどロマンスに集中してない(当然だけど)のが敗因か。素晴らしい脇役たちのロマンスに免じて5つ星にしたいところだけど、ちょっと構成面での新鮮味もうすいということで一点減点。2005.6.25★★★★

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2005.06.18

The Unsung Hero

080411952XThe Unsung Hero
Suzanne Brockmann

Ivy Books 2000-06-06
売り上げランキング : 156,003
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海軍特殊部隊の"Team Sixteen"のリーダーであるTomは職務中に頭に大怪我を負い、一命は取り留めたものの、職務遂行能力を問われて強制的に30日間の休暇をとらされる。故郷に帰ってみたところ、隣のお屋敷のお嬢様、現在はボストンで小児科医をしているKellyも、死期の迫った父親の看護のためふるさとへ戻っていた。若かりし頃、お互いに惹かれながらも若さゆえに一歩踏み込めず、結局気まずいムードで分かれたっきりになっていた二人。16年たって、Tomは頭髪がさびしくなってKellyも既にバツイチだけれど、やっぱりどうしようもなく惹かれあう。「不良少年」Tomと青春敗者復活戦とばかりにアバンチュールを夢見るKelly。だけど、「よい子」のKellyには期限付きアバンチュールも、怪我で頭がおかしくなったかもしれない自分もふさわしくない、とTomはKellyのことを思えばこその逃げ腰状態。

Troubleshootersシリーズ第一作。
ずっと前から気になっていた人気シリーズにようやく手をつけました。やっぱ面白いわ。TomとKelly(トムとジェリーみたい)のロマンスのほかに、Tomの姪っ子Malloryとオタク青年Davidとのロマンス、Tomの叔父とKellyの父親の第二次世界大戦中のフランスでのレジスタンスの女闘士をめぐる三角関係、何故かTomの故郷の町に現れた国際的テロリスト(あるいはそのマボロシ)の追跡、とそれぞれ単独でも一冊かけそうなストーリーが惜しげもなく盛り込まれて豪華幕の内弁当状態。特に戦火の三角関係が壮絶でロマンチック。悲しい話なんだけど、これだけで一冊書いて欲しいくらい良かった。ごく自然に回想シーンになだれ込むのに、ちゃんと時系列に沿って話が進むところも見事(イタリックなのでちょっと読みにくかったけど)。MalloryとDavidも切ないほど初々しくてよかった。Davidがキュート。本筋であるTomとKellyのロマンスも決して悪くないんだけど、カラフルな脇役達のロマンスに較べるとちょっと「普通」過ぎる感じがするかなぁ。でも、幕の内効果で充分満足させていただいたので5つ星。英語はかなり読みやすく、その点も有難いです。2005.6.16★★★★★

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2005.06.07

Till Next We Meet

006075737XTill Next We Meet (Avon Historical Romance)
Karen Ranney

Avon Books (Mm) 2005-05-01
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18世紀後半のスコットランド。結婚まもなく夫Harryはカナダの戦地に赴き、Catherineは一人屋敷にとりのこされるが、心温まる文通を通じてどんどん夫への愛を深めていく。実はその手紙、妻に返事を書く気などさらさらないHarryを見るに見かねた上官のMoncriefがHarryの名をかたってしたためていたものだったのだ。最初は哀れみで文通を始めたMoncriefもCatherineの手紙に孤独を癒され、文面からにじみ出る人柄に心惹かれていく。やがてHarryは殺され、時を同じくしてMoncriefの兄が亡くなり、Dukeの地位を引き継ぐことになったMoncriefはスコットランドに里帰り。亡くなった部下の遺族を弔問する旅で、愛する夫を失った悲しみのあまりアヘン中毒になっているCatherineにショックをうける。Moncriefはアヘンの過剰摂取で死にかけたCatherineの命を救い、妻として故郷に連れ帰る。喪服をまとって悲しみに浸るCatherine。実は手紙を通じて愛を育んだ相手が目の前にいるというのに、心を開く気配もない。

自分が自分のライバルになっちゃうシリーズ第二弾って感じですね(第一弾はこちらね)。Moncriefは久々の正統派ヒーロー。部下の妻のために手紙書いてあげるなんて、なーんて優しいのでしょう!とのっけから目がハート状態。うーむ、たまには正統派ヒーローもよいねぇ。ただ、二人のやりとりした手紙とか非常にロマンチックで美しかったし、素敵なシーンもいっぱいあったんだけど、ロマンス自体は淡々とほんわか進行する感じで(多分前半はCatherineがアヘンでボンヤリしてたせいもある)、トキメキ度がいまいちかな。構成(ちょっとサスペンス仕掛けあり)もしっかりしてるし、感情も計算されて表現されてる感じが非常にしたので、あまり赤裸々感がなかったのは力量不足というよりはこの人のスタイルなのかもしれない。好きな人は好きかも。しっかし読みにくい英語だった。ちょっと凝りすぎだよね、コレ(って自分の英語力のなさを棚にあげてっ!)。2005.6.7★★★★

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2005.06.04

ボーイズラブとロマンス小説

近頃はどうか知らないけれど、ちょっと前、久々にリアル本屋を訪れて昔懐かしい少女小説(つうか、今ではヤングアダルトと呼ぶべきか?)コーナーを通りかかって愕然とした覚えがある。そう、平積みされた文庫のこの表紙もあの表紙も美少年カップルで埋め尽くされていたのだ。い、いつの間に?
ご存知の通り、ボーイズラブは極めて新しいジャンルで、私の青春時代にはそんなものはなかった。私自身中学時代に読んだ筒井康隆全集で「男同士の性愛のカタチ」については既に学習済みだったし(子供は何からでも学んじゃうものです)、クラスメートの中には早くもいわゆる「やおい」にハマっている子だっていた。でも、それはメインストリームでは有り得なかったし、商店街の本屋さんの店先に白昼堂々ならべるようなモノではなかった。メインストリームは新井素子であり氷室冴子であり「丘の家のミッキー」だった(なつかしいですね)。それがいきさつは知らないけれどここ10年程の間にすっかり様変わりしていたのだ。
ということで、このテーマについては一度考えてみたいとずーっと思っていた。ボーイズラブを読んでる女の子達が将来ロマンス分野に流れてくるとすれば、日本のロマンス・ノベルの将来はばら色じゃないか、と。勿論過去においても「少女小説・少女漫画を読んでる女の子達がロマンス読みになる」可能性があったわけだけれど、それは必ずしもその通りではなかった。多分その理由は少女小説や少女漫画では徹底的といっていいほどに恋愛のセクシャルな局面が省略されていたからだ。いいトコに差し掛かると必ずといってよいほど暗転して、次の瞬間は翌朝になっている。なぜなら読者の女の子の殆どは自分の女性性をそういう形で受け入れる準備がまだ出来ていない、と考えられていたからだ。で、少女小説を読んでいた女の子達はやがて二次元の恋愛ごっこを卒業し、実世界で恋愛を重ねて成長してセクシャルな局面も楽しめるようになるのだけれど、殆どの場合「恋愛小説」の世界には戻ってこなかった。一度途絶えた習慣を再開するのってキッカケが必要なのだ。
ところがボーイズラブの場合、作品によって程度の差はあれ、どういうわけだかラブシーンはロマンス・ノベルのそれと同じくらいに重要視されているようだ。つまり、セクシャルな受容性を高める過程を「読む習慣」をやめずに過ごすことが出来るわけ。問題はいつかどこかの時点でボーイズラブ読者がロマンスに鞍替えするという瞬間がやってくるかどうかになる。ここが一番難しい考察になる。ボーイズラブ読者が何をボーイズラブに求めているのか、そしてそれがロマンスに備わっているのか。
そもそも、なんで男同士でなきゃいけないのか、なんていう学術的・本格的な考察は研究者にゆずるとして、一読者の直感で答えるならば、鞍替えの可能性は充分あると思う。ボーイズラブといえば秋月こおの「富士見シリーズ」くらいしか読んだことがないのだけれど、楽しみ方は基本的に一緒であると感じる。男同士の恋愛だからといって、必ずしも読者が第三者的立場に立たされるかというとそうではない。恋愛の苦しみとヨロコビは同じで、必ずそこに共感がある。男同士のラブシーンなんて共感できないだろうと思うかもれないけれど、ロマンス・ノベルのラブシーンにおいても私たちはフィジカルな行為そのものに共感しているのではなく(多分)、そこで不条理に激しく揺れ動く感情に共感しているのであって、それはホモセクシュアルだろうがヘテロセクシュアルであろうがかわらない。
違いがあるとすれば、ボーイズラブの主人公達には「いけない恋をしている僕たち」という影が宿命的に貼り付いているという点だ。彼らは作品の終わりでハッピーエンドを迎えたとしても、それは「今のところは」という条件付ハッピーエンドである。文面にかかれてはいなくても、将来にわたって彼らが大きな困難をクリアし続けなければいけないという事実がどこか影をおとしている。そういう「影」を特に好んで読んでいる読者にとってはロマンス・ノベルの楽観的「めでたしめでたし」路線は受け入れがたいものがあるかもしれない。だけど、全てのボーイズ・ラブ読者がそうであるとは私は思わない。単に美少年達の恋愛模様、困難を乗り越えてハッピーエンドに至るカタルシスに喜びを見出す読者も沢山いるだろうし、彼女らがより自分に身近な存在である女主人公の物語に心惹かれてゆく時期が来る可能性はとっても高いと思うのだ。
ジャンルの発展を夢見る一読者の、希望的楽観的ハッピーエンド保証的観測ですけど。

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2005.06.01

Shades of Twilight

0671019716Shades of Twilight
Linda Howard

Pocket Books (Mm) 1997-09-01
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子供の頃から親戚のWebbを実の兄のように慕っていたRoanna。成長につれてその気持ちは愛情に変わるわけだけれど、そそっかしい「みにくいアヒルの子」だったRoannaは、美しくて意地悪な従姉妹のJessieとWebbが結婚してしまうのを指をくわえてみているしかなかった。ところがある日、RoannaはWebbにキスしてしまい、それを目撃したJessieとWebbが大喧嘩。あろうことかその晩Jessieが殺されたものだから当然Webbが疑われる。結局証拠不十分でWebbが逮捕されることはなかったのだけれど、WebbはRoannnaを恨んだまま故郷を去る。そして10年後、死ぬ前にもう一度Webbに会いたいという祖母の願いをかなえるためにWebbを迎えに現れたRoannaは、昔のじゃじゃ馬っぷりは影もなく、笑うことをわすれた大人の女性だった。

真性ロマンス好きな私はロマンチック・サスペンスってあまり好きではないのだけれど、コレはなかなか良かったです。ロマンスがあくまでもメインで、サスペンスがロマンスを美味しく頂くためのスパイスとして効いてるって感じ。これが逆だと興ざめなんですよね。ロマンスの流れを損なわないよう、サスペンスの見せ場を最後にまとめてあったのもよかった。
不幸な事件によってWebbもRoannaも心に大きな傷を負ってすっかり頑なになったところからロマンスが始まり、二人の関係が進むにつれて二人のキャラクターが少しずつ和らいでゆくのだけれど、その過程が自然かつドラマチックでよかった。その反面、まだ愛が不確かな時期にはお二人ともカッチカチですので心の揺らぎを楽しむには今ひとつだったかもしれない。途中からはメロメロですけどね。Webbが乳○に固執するのが笑えたけれど、ラブシーンはロマンチックで情熱的。2005.6.1★★★★

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