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2004.10.31

アウトランダーとロマンスの目覚め

本当に面白い本てのは読み始めて直ぐにわかるものである。
「おっ」と思って、次に「うぉーっ」と思って、そして「いやっほぅ」と小躍りするあの感覚。少なくともその本を読んでいる数日間の間、至福の時間が約束されたと確信するあのヨロコビ。日中、仕事に走り回ってくたびれて、そしてふと「そうだ、帰ったら続きが読めるんだ」と思いだして思わず笑顔になるあの瞬間。本読みでよかったとつくづく思うときである。わずか数百円で至福が買えるのだ。そして、そのヨロコビが比較的長く続くということで、洋書読みでよかったと思うときでもある。ま、そんな本は滅多にないのだけれど。
ダイアナ・ガバルドンのアウトランダーもそういう本の一つだった。
アマゾンで本を買うと、購入履歴から「オススメ本」というのを自動的に紹介してもらえるのだけれど、中でもしつこくオススメされたのがこの作品。それまでの購入履歴からどうしてこれがオススメされたのか今でもよく分からないのだけれど、とにかくそれほど勧めるのなら、とアメリカアマゾン(amzon.comのことです)で評判をチェックしてみると、なんだ、この絶賛レビューの数々は!内容がタイムトラベル物という点には一抹の不安を覚えつつ、ま、騙されたと思って買ってみようと買ったのがキッカケ。
そして幸運にも、「おっ」、「うぉーっ」、「いやっほう」となった訳である。
初めて読んだ頃はそれほどロマンスのスタイルに慣れ親しんでいた訳ではなかったので、とくに不審にも思わなかったが、今思えば、あの本はロマンスとしてはかなり型破りである。なにしろ一人称スタイルで書かれているのだ。ヒロイン、クレアの視点でストーリが語られるので、ヒーローが何を考えているのか読者には全く判らない。オマケにヒーローがナカナカ登場しない。さらにはようやく登場したとおもったら、有り得ないぐらい地味な登場の仕方である。しかも年下バージン(笑)。
しかし、一人称スタイルという一見ロマンスを紡ぐ上でハンデに感じられる方法も、ヒロインのクレアの知性と冷静でやや皮肉っぽいユーモアのセンスのお陰で全く飽きさせない。更には史上最高の完璧ヒーロー(私見っす)の姿が彼女の目を通じて描かれることで、ウソっぽさや嫌味がなくなるのも吉。ちょっと計り知れない部分があるこのヒーローによくマッチしたのだと思う。巻が進めば三人称スタイルでヒーローの内面が描かれることも増えてくるのだけれど、当然ながら彼にほれ込んでいるヒロインによって語られる姿の方が断然素敵である。ほれ込みつつも、ヒロインの性格上どこか冷静な描写も良い方向に働いている。
ま、何はともあれ、とにかく夢中になって読み、二人のふかーい愛情に猛烈にときめき、有り得ないくらい波乱万丈のストーリーに大興奮の数日間を過ごした結果、すっかりロマンス読みに改造された自分を発見したのでした。
いや、改造てのはちょっと違うかもしれない。自分では気が付いていなかったけれど、私は多分ずっと昔からロマンスが好きだったのだ。ジャンルこそロマンスではなかったけれど、犀川先生と西之園萌絵とか、モルダーとスカリーとか、「エンターテイメント」のなかの「ロマンス」という要素を無自覚にずっと愛してきたのだということが、今だから判る。実はピーナッツが好きなのに、ずっと柿ピーを食べていたようなものだったのだ。私は今まで何を読んでいたんだ、と愕然とするくらい新鮮な発見。
ロマンスに目覚めたことは、人生に起こった素晴らしいことベスト20(微妙すぎ?)に入れてあげてもよいくらいラッキーな出来事だったと思いますね。他の潜在的ロマンス愛好家の方々も早く気が付かれますように。

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2004.10.21

僕は読んだことないけど・・・

アメリカではロマンスってジャンルがホントに大地に根ざしてるんだなって感じるのは、「ロマンスが好きなんです」って言ったときの相手のレスポンスを聞いた時かもしれない。

■レスポンス=その1=
僕の母親が好きだったよ。面白い本に混じって沢山本棚に並んでた(彼にとってロマンスは「面白い本」ではないらしい)。表紙のイラストがへんだよね。何でこんなの読むんだろうって思ったよ。読んだこと?無いよ(なぜか若干赤面して)。興味ないし。
■レスポンス=その2=
僕の両親が好きだったよ(両親?)。うん、父親も母親と一緒になって読んでた(まじすか?)。それってフツウかって?さあ、フツウじゃないのかな。僕?いや、1回も読んだことないけど。君は?ノーラ・ロバーツとか好きなの?(読んだことない割に作者の名前は良くご存知だ)
■レスポンス=その3=
舞台がビクトリア時代だったり、海賊が主人公だったり、貴族が主人公だったりするんだよねぇ(コイツ絶対読んでる。しかもヒストリカルか)。ロマンスのヒーローと現実の男が全然違うから「どうしてこの本のヒーローみたいに○○じゃないの?」とか言って責めるんだろ(コイツ絶対責められてる)。え?読んだことなんて無いよ(ウソだ)。

共通してるのは、母親なり両親なり彼女なり、誰か身近な人にロマンス読者がいるってところか。そして、読んだことないにしてはあまりにビビッドな反応。少年時代におそらくは母親の本棚からこっそり持ち出して、一度は読んだことがあるのだろう。そして、読んだことがあるかと聞いてみれば10人が10人ともNOと答えるのだ。可笑しいくらいムキになって。きっと「オトコは読んではいけないモノ」なのでしょうな。

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2004.10.12

すれ違いマニア

「すれ違い」が大好きだ。
本当はとってもとっても愛し合ってる男女が運命のいたずらですれ違いまくり、悶々と苦しむ話って楽しくない?(ややサドっ気ありか)。実は今読んでる本もすれ違いっぷりが良くて大喜びしてるところである。「うぉー!なぜそうなる!」と呻き悶えつつ残酷なすれ違いっぷりを楽しめるのも、最後にはハッピーエンドがやってくることが分かってるからだ。途中、主人公が苦しめば苦しむほど(酷っ!)、最後に誤解が解けてハッピーエンドに至るときのカタルシスがヒトキワであることを知ってるからなのだ。
いわゆる「ロマンス」というジャンルはハッピーエンドが定義のようなものだけれど、世の中にはいかにもロマンスのような顔をして、そのくせちっともハッピーエンドではない話もいっぱいある。
そう、「風と共に去りぬ」の話をしているのだ(以下、ネタバレあり)。
高校生のころ一度、本(勿論翻訳ね)を読んだことがあったんだけれど、なにしろ大昔の話であらすじも半分忘れていたし、映画をまだ見たことがなかったので、先日ツタヤでDVDを借りてみたのだ。
映像の美しいことときたら予想以上だった。 南北戦争直前の美しい南部の田園風景!衣装もすばらしかった。あとは、ヒストリカルを読んでて下着の描写がイマイチぴんと来てなかったこともあって、お嬢様たちが下着姿で走り回るシーンという妙なところで感動(「そうか、こんな格好だったのか!」)したり、レット・バトラーが想像以上にニヤケ男だったのでガックシしたり(あのヒゲはよくないと思う)、一方そのレットがスカーレットをお姫様だっこして階段2段飛ばしで上がるシーンでは思わず惚れそうになったり(レットはアシュレーまでお姫様だっこしてしまう!)。映像の力って大したものである。とは言え、キスシーンではレットのキスが本当に上手いのか実は下手なのかさっぱり判らず、映像の限界って奴を感じたね。
すれ違いファンとしては、二人の有り得ないほどのすれ違いっぷりに大喜びしながら見ていた。なにしろあらすじは殆ど忘れていたので、一つ一つのすれ違いエピソードに大興奮である。しかし、忘れていながらも、有名な最後の台詞「明日は明日の風がふく」って奴がふと頭の片隅をよぎる。あまり幸せいっぱいな台詞ではない。しかも、そのシーンはスカーレット一人ぼっちのシーンだったような・・・。ちょっとまてよ。嫌な予感がするな、と。
・・・「風と共に去りぬ」はハッピーエンドではなかったのですね。最後までものの見事にすれ違いっぱなしだった。ロマンスでは有り得ないエンディングである。ロマンス的にはあそこで終わってはいけないのだ。すれ違いは最後に分かり合うから楽しいのであって、すれ違いっぱなしじゃただの酷い話である。全国のロマンスファンの皆さんが続編を求めた気持ちもよーく分かる。私も作りたくなったってば。
原作はどんなんだったんだろう。今一度読みたくなってきました。高校生のころとは全然違った読み方ができるはず。「掟破りのロマンス」としてね。そして最後に「何故ここで終わる!」と悶えるのだ(実はマゾか?)。あと20年くらいしたら、「ロマンス」ではなく一人のアイルランド系女の物語として、また違った読みかたをするのだろうし。

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2004.10.09

表紙のイラスト(2)

表紙のイラストのヒーローは本編のイメージと著しくかけ離れていることが多い、なんてコメントした口も渇かぬうちに、自らそのワナにはまってしまいました。
Luara KinsaleのThe Shadow and the Starを読んでいたのだけれど、この本の表紙には国籍不明な容貌の筋肉男が上半身裸で水を滴らせながら夜の海に突っ立っているというかなり意味深な代物。
Shadowstar
(←コレね)
実はこのストーリーのヒーローは開始早々にかなりドラマティックな登場をするのだけれど、記述されたゴージャスな容姿と表紙の絵があまりにもかけ離れていたので、私はその男がヒーローだとは夢にも思わず読み進めていた次第。「ヒーローでもないくせにヤケに丁寧に描かれているなぁ、何かのワナか?」とまで思いながら。いつになったらヒーローが登場するのだろう、と首を長くしながら。・・・馬鹿みたいである。
しかも、表紙の次のカラーの挿絵ページには滝に打たれながら(!)半裸で抱き合うヒーローとヒロインのイラストがあるのだけれど、勿論そんなシーンはなかった。何故、滝!?そもそもこのイラストを描いた人はこの本を読んだのだろうか?読んでない方に5000点だ。
この罪作りなまでに紛らわしいことこの上ない表紙絵だけれど、残念ながらすでに絶版で、私もアマゾンで中古をかったのだ。もう直ぐ再出版される予定とのことだけれど、表紙は当然変わるらしい。私のように騙される人がでないことは喜ばしいことのような、少々残念なことのような。複雑な心境である。

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2004.10.03

表紙のイラスト

ロマンスというジャンルを心から愛してる私ですが、あの表紙だけはなんとかならないものかと常々思っている。そう、半裸の男女がうっとりした表情であられもなく抱き合ってる、あの手の表紙絵です。
超メジャー作家の作品とか人気作品の再版モノだと無難な装丁だったりするんだけれど、新刊の多くは男女のイラスト(時には男子のみとか。男子のみの時には半裸度がさらに亢進する傾向)がバーンと。インターネットで購入してるから躊躇いなく買っちゃっているけど、本屋であんな表紙の本をレジまで持っていく勇気は私にはないし、購入後だって、人前で本を読む時無茶苦茶困るのだ。何が狙いなんでしょうね、アレは。表紙の絵の扇情度で本を選ぶ読者がいるとでもいうのだろうか?(いたりして・・・)
私は読んだ本は捨てずに本棚に並べるタイプなので、面白そうだなとおもっても、あまりにも表紙絵が恥ずかしい本は購入を見送ることさえある。ところが、アマゾンの表紙絵の写真を見て「これなら」と思って購入すると、背表紙に思いっきり恥ずかしい絵が描いてあって愕然とすることがママある。並べますよ。仕方ないから。お陰で私の本棚には恍惚とした男女のイラストがずらりと並んでしまうことになるのだ。時々ひょっとすると自分は変態なのだろうか、と心配になる。
しかも、絵はあまりお上手でないことが多い。本編のヒーロー・ヒロインのイメージを著しく損なうイラストなんてのはザラで、筋肉系セクシーボディを目指すあまりデッサンが狂った失笑モノのヒーローの姿や、異常に化粧の濃いヒロイン(しかも一昔前のメイクだ)、アクロバティックといって良いほどに人間工学を無視したありえないポーズでヒシと抱き合う二人(すでに首の骨が折れているのでは、と心配するほど)。たまーに非常に上手くて色っぽい、かつ本編のイメージに良くあった表紙絵があったりして、そういう時はドキドキするけれど、99%の表紙絵は爆笑系だ。
子供の本じゃあるまいし、イラストなんていらないです。センスの良い装丁を、なんていいません。お願いだから、普通の無難な装丁で本をつくってください。

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2004.10.02

TOP100ロマンス

All About Romanceで10月5日締め切りでベスト100ロマンスの投票を行っている。Y2K top100以来の人気投票だから実に4年ぶりである。
投票総数がどれくらいあるのか知らないが、Y2Kのtop100とその二年前に実施された最初のtop100もどちらも上位に来ている作品は面白いものが多くて、かなり信頼度は高そうである。次に読む本がないなぁなんて時、結構参考にしている。ちなみに1998年の第一位はA Knight in Shinig Armor (邦題「時のかなたの恋人」。。。なんでロマンスの邦題はダサいのかね)、2000年の第一位はLord of Scoundrelsである。今のところマイ・ベストであるOutlanderも1998年の投票で三位、2000年の投票で二位といずれも上位にランクインしている。Pride and Prejudiceがそれぞれ12位と13位にランクインしてるのは、絶対BBCドラマの影響だと思うけど・・・。
結果が発表されるのは15日だそうで、とっても楽しみ。今回はどんな作品が上位にくるのでしょうか。


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