2011.01.09

A Matter of Scandal

A Matter of Scandal (Avon Historical Romance)A Matter of Scandal (Avon Historical Romance)
Suzanne Enoch

Avon 2001-07-31
売り上げランキング : 179315

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

育ての親である叔母の後を継いでフィニッシングスクールの校長をしているEmma。年頃の娘たちが幸せな未来を手に入れられるよう、知性と教養ある立派なレディに育て上げることを生きがいにしている。ところが地主から賃貸料を3倍に値上げすると突然の通告。これでは学校経営が立ち行かない。値上げの背景には、地主の甥っ子である不良公爵Greyの存在があった。危機的な状況にあった伯父の台所事情を知り、賃上げするよう意見したのだ。言い寄ってくる女たちにうんざいりしていたGreyは女性をとことん見下している。女性に知性などあるわけがない。どうせ男を誘惑する術を教えているに決まっている学校など、潰した方が世のためだ。賃上げに応じるわけにはいかないEmmaは賃上げをかけた賭けを受けて立つ。教育者として、経営者として、自分がGreyよりも優れていることを示すのだ。しかし、まさかその賭けが学校の存続にかかわる大スキャンダルに発展するとは…。

With This Ring3部作の三作目。ヒーローのGreyは女を見下し人を人とも思わない傲慢な不良公爵。公爵が不良だと迫力あるなぁと思ったのもつかの間。つまらない嫉妬で悶々とし、Emmaの生徒たちに翻弄され、果ては靴にゲロを吐かれた上に沼にまで突っ込む情けないその姿には威厳のかけらもなく、母性本能を刺激します。まるで誘惑の上手い小学生男子。たとえ血まみれになっても悲壮感のないそのキャラがなぜか魅力的でした。Emmaとの相性もよかったけれど、なんといってもEmmaの生徒たちとGreyのからみが楽しかった。Greyを変えたのはEmmaではなくって生徒たちなんじゃないかと思うほど。ストーリーは二作目の方が緊張感があって好きだったけれど、ラストの盛り上がりはよかったです。Emmaはちょっとキャラが薄かったかな。彼女の過去があまり活かされていなくて、とってつけたようになっているのが惜しい。★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.03.11

The Music of the Night

The Music of the Night (Signet Eclipse)The Music of the Night (Signet Eclipse)
Lydia Joyce

Signet Book 2005-11
売り上げランキング : 134460

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


長年の友人de Lintにわずか十二歳の私生児Adelaがレイプされた。Sebastianはde Lintを訴えるが、de Lintは誘惑してきたのはAdelaだと言い張る。世間も外面のいいde Lintの言葉を信用し、怒りを納めぬSebastianを白い目で見る。ある日馬車の事故で命を落としかけたSebastianは、そのまま死を装って世間から姿を隠し、de Lintを油断させて復讐を狙う。de Lintを追ってベニスまでやってきたSebastianは、そこで彼の愛人らしき女性の姿を目にとめる。まずは復讐の第一歩として、仮面舞踏会にその愛人を誘いて出し誘惑しようと計画する。
実はその女性は愛人ではなく、de Lintの母の付添い人Sarahだった。ロンドンのもっとも貧しい地域に生まれ育ち、幼いころから生き延びるために身体を売らなければならなかったSarah。醜い世界から抜け出したいと、友人の力を借りて教育を受け、なんとか貴族の付添い人という地位まで這い上がってきた。しかし顔には天然痘の傷跡がある。予防接種も治療も受けられなかったことを示すその傷跡は、貧民窟の出身であることの証だった。そんな自分が、美しい男から誘惑されるなんて。仮面で傷跡をかくし、Sarahは一夜の夢とばかりに身を投げ出すが・・・。

デビュー作のThe Veil of the Night同様、心理描写が優れいています。とくにSarahがよく書けています。過酷な運命を生き抜いてきたヒロインに相応しい、キレイごとでない適度なハングリーさがいいです。それでいてどこか諦観したところもあったりして、健気ではかなくもあったりして、興味深いヒロインです。状況を理解することにエネルギーのほとんどを持っていかれていなければもっと楽しめたでしょう(泣)。いや、マジで。
ドロドロなストーリーに濃厚なキャラクターで、まったくの私好みなのですが・・・なにしろ文章がキツイ。いかにもヒストリカルなbig wordの連発。普段ならそんなの気にもせず読み飛ばすのですが、この作品の場合、Adelaのレイプ事件の真相、Sebastianの復讐計画の内容、Sebastianを狙う人物の存在、と謎のオンパレードなわけですよ。ただでさえ謎めきまくりなのに、わからない言葉が多すぎると・・・オイオイ、いま何が起こっているの?ってね。私には難しすぎました。充分な語彙をお持ちの方は是非お楽しみください。2007.3.10★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007.02.24

It Must Be Love

It Must Be Love (Avon Light Contemporary Romances)It Must Be Love (Avon Light Contemporary Romances)
Rachel Gibson

Avon Books (Mm) 2000-03
売り上げランキング : 65011

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アイダホのとある大富豪所蔵のモネが盗まれる。覆面捜査官のJoeは、美術商のKevin Carterに目をつけていた。Kevinこそ今回の黒幕であり、自分の店を隠れ蓑にして盗品売買を行っているに違いない。Joeは彼の店の共同経営者であるGabrielleを密かに尾行する。しかしある日、いつものように尾行していたJoeに突然Gabrielleが飛び掛り、銃をつきつけた。Joeをストーカーだと勘違いしたGabrielleが反撃にでたのだ。JoeはなんとかGabrielleを取り押さえ、公務執行妨害と銃を携行した罪で逮捕する。自分がストーカーではないことを納得さえるため、警官として尾行していたこととKevinに対する容疑を打ち明けざるを得なくなったJoe。それならいっそ、と、罪を見逃す代わりにGabrielleの恋人を装って店に潜伏したいと持ちかける。店に入り浸り、犯罪の証拠を探しながら、Kevinの前では恋人同志を演じ続けるふたり。一緒に過ごすうちに、自分の理想とは違うはずの相手に心ならずも惹かれていく。

はじめて結ばれるのがなんと300ページ(正確には299ページ)というスローペースぶり。しかも、その時点ではまだふたりは愛し合っていないという始末。というわけで、愛するふたりのすれ違い、というよりは、恋愛未満の緊張感を楽しむ作品でしょうか。
Gabrielleはニューエイジ系不思議ちゃん。ルックス不問で「精神レベルの高い」男にしか興味がない。みるからにセクシーでマッチョなJoeは対象外のはず。一方のJoeは古風なところがあって、家庭的な女性と一緒になって落ち着きたいと考えている。奇言奇行が服着て歩いているような、料理嫌いのGabrielleは対象外のはず。お互いの自分の理想の恋人像に対する思い込みと、情報提供者に手をだしてはいけないというJoe側の事情が恋の障害となるわけですが、うーむ、ちょっと弱い? 
でも、悶々としたGabrielleが描いたJoeのヌードが本人に見つかってしまって、"Mr. Happy" (by Kevin)の写実性が問われるシーンとか、JoeのペットのSam(クリント・イーストウッド好きの口の悪いオウム)とか、Rachel Gibsonらしいぶっ飛んだおかしさは楽しい。それにラストのラスト、ようやくお互いの愛に気がついた二人のセキララぶりにはぐっと来ます。でも如何せん残りわずか数ページではハラハラしようもなく・・・。って、欲張りすぎ? 2007.2.24★★★★

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006.09.21

Hot Target

Hot TargetHot Target
Suzanne Brockmann

Ballantine Books (Mm) 2005-11-29
売り上げランキング : 9019

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

派手なプライベートで有名な映画プロデューサーJaneの次回作"American Hero"は、実話に基づいた第二次世界大戦中のロマンスだった。ただし、それが男同士のロマンスだったことから、Janeは製作を取りやめるよう何者かに脅迫を受けるようになる。心配した映画制作会社がTroubleshootersに護衛を依頼し、Navy SEALのCosmoがJaneのボディガードを務めることに。脅迫を本気にしていないJaneは猛反発。一方のCosmoもなにかと派手なJaneに反感を抱くが、やがてお互いを知るようになり恋におちる。ところが当然ながら脅迫は伊達じゃなかった。脅迫メールの類似性から、おそらく犯人は過去にも殺人事件を犯しているとあるカルト集団であると推測。FBIまで乗りだすが、Janeと周囲の人間は危険にさらされることに。

Troubleshootersシリーズ第8作(The Unsung Hero, The Defiant Hero, Over the Edge, Out of Control, Into the Night, Gone Too Far, Flashpoint)
あらすじの通り、表向きにはCosmoがヒーローなわけですが、本作の真のヒーローはAlyssaの親友でもあるゲイのFBI捜査官 Julesです。
公式ウェブサイトのカウントダウンページにもあるように、Suzanne Brockmannの息子さんもゲイなのだそうです。たまたまゲイとして生まれてきたというだけで、人を愛し人に愛される普通の人間だってことを訴えたかったのでしょう。Julesと"American Hero"の主演男優であり、Janeの弟でもあるRobin(自称ストレート)とのロマンスがサブプロットになっているんですが、これが凄い。主役を食ってるなんてレベルじゃないです。Julesの元彼のAdamまで絡んできて、濃厚で切ない恋愛模様にメロメロです。なにしろ、あの陽気で優しいJulesがビックリするくらい男らしい。ほれます。JulesとRobinの恋の行方が気になって仕方がない。"Over the edge"でのAlyssaとSamを彷彿とさせるケミストリーです。
とまあ脇役のロマンスは無茶苦茶素晴らしいのですが、主役のロマンスがビックリするくらい出来が悪い(笑)。はっきりいってキャラもいい加減だし、あまり印象に残らない。Julesの物語の埋め草程度にしか見えません。いっそJulesを主役にすればよかったのに(ってそういう訳にもいかんでしょうが)。無口なCosmoのキャラがヒーローとしては難易度高かったということもあるのかもしれませんが、これでは残念ながら5つ星はあげられません。もったいない!
冒頭に息子さんへの献辞があるんですが、これがなんとも泣かせます。母の愛です。上述のカウントダウンページの下の方にもありますのでご一読あれ。2006.9.15★★★★

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006.09.18

A Summer to Remember

A Summer to Remember (Get Connected Romances)A Summer to Remember (Get Connected Romances)
Mary Balogh

Dell Pub Co 2003-03-04
売り上げランキング : 13797

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

奔放な独身生活を謳歌していた不良貴族Kitは、家族からの圧力で望まぬ相手と婚約させられそうになる。かくなる上は大至急で、誰もが認める相手を婚約者として見繕わなければ。そんなKitが白羽の矢を立てたのがLaurenだった。不良貴族のKitなど相手にするはずもない完璧な貴婦人Laurenと、たった二週間で婚約にこぎつけてみせよう、とKitは友人たちと賭けをする。
一年前、結婚式の日に相手に捨てられるという大スキャンダルに見舞われていたLauren。貴婦人として恥ずかしくないように、と真面目に生きてきたこれまでの人生は間違っていたのだろうか、と疑問を抱いていたところへのKitの求愛。危険な相手だと周囲に反対されればされるほど、LaurenはKitに接近してゆく。
はじめはゲームを楽しんでいたKitだが、やがてLaurenをひとりの女性として見るようになると、賭けの対象としていることが恥ずかしくなり、結局すべてをLaurenに告白。愛されていた訳ではなかったと傷つきつつ、Kitの事情を知ったLaurenはある提案をする。ひと夏だけ、ふたりで婚約を装って、夏が終わった時点でLaurenから婚約を破棄しよう。そうすれば、Kitは望まぬ相手との婚約を回避できるし、Laurenもオールドミスとして静かな生活を手に入れることができる。そのかわり、思い出になる夏を経験させてほしい、と。

最初は"The Secret Pearl"とは随分違った、やけにあっけらかんと明るいトーンにビックリ。いろんなスタイルで書く人なのかなぁと思っていたら、ジワジワと色々な影が書き足され、しっとりと味わい深いロマンスに変貌しました。その変貌ぶりがホント自然でさりげないのと、重苦しくならずに深みを増すのが良い。Kitと弟Sydの確執なんてかなりヘビーだと思うのだけれど、どこか幻想的ですらあったり。なんでかな?
とにかく主人公二人がいいです。賢さと純粋さを兼ね備えたLauren、奔放でありながらも根は誠実なKit。この二人の魅力に尽きるんじゃないかな。KitのリードでLaurenが女性として花開いていく様子が痛快なんだけれど、そこはかとなくひと夏限定という切なさがあってグッときます。ツクツクボーシの声を聞く切なさが通奏低音になってるとでもいいましょうか、いや、なんとも情緒があります。絵になるシーンも多いし、素敵な映画をみたような読後感(2時間の映画には絶対収まらないけどね)。シリーズの一部らしく、脇役がやけに丁寧に描かれているので面食らいますが、コレだけ読んでも充分楽しめました。おすすめ。2006.9.10★★★★★

| | コメント (6) | トラックバック (1)

«Something Borrowed